前稿のコーヒーの機能性成分(“コーヒーの生豆に多い機能性成分「トリゴネリン」、焙煎により熱分解?”)からの繋がりで、本稿では「カフェイン」の功罪について紹介します。
カフェインといえばコーヒーの代名詞のようですが、次に示すように紅茶や緑茶をはじめ、栄養ドリンクにも含まれています(下図)。
(日本食品標準成分表2020(八訂)を参照)
栄養ドリンクは上図に載っていないので、具体例(1本当たり)を挙げます。
・レッドブル(250ml) 80mg
・オロナミンC(120ml) 19mg
・ユンケル皇帝(30ml) &・アリナミンA(50ml) 50mg
飲み物以外ではカカオ豆由来の
・チョコレート(25g) 7~21mg
含まれています。
結果的に緑茶の玉露が160mgと断トツ(抹茶は70mg)ですが、万人がほぼ毎日数杯飲むのはコーヒーを筆頭に図の茶類で、そこに日によって栄養ドリンクやチョコレートが1 or 0で加わる、のが一般的な摂取量になるはずです。
日常摂る飲食物のカフェイン量が判ったところで、1日摂取量の目安について確認しておきましょう。
実は日本では、明確な基準や具体的な摂取量の目安は示していないのです。海外における情報を発信していて、カナダの推奨摂取量が普及している現状です。
・健康な成人 400mg
・妊婦や授乳中の母親 300mg
上記以上にカフェインを過剰摂取すると、中枢神経系が過剰に刺激され、めまい・心拍数の増加・興奮・不安・震え・不眠が起こります。また消化器管の刺激により下痢や吐き気、嘔吐することもあります(“農林水産省:カフェインの過剰摂取について”より引用)。
特に更年期世代はカフェインの代謝機能が低下し、睡眠の質にも悪影響が及ぶのです。
従って睡眠のことを考えると、カフェインの多い飲み物は、就寝前はNGで遅くとも午後のコーヒーブレイク迄にすることです。
また今では、コーヒーや栄養ドリンクにはデカフェ(カフェインレス)の製品があるので、選択肢に入れるのもありでしょう。
最後に、カフェインの「功」、すなわち効能についてです。
カフェインは日本薬局方に中枢興奮・鎮痛薬として登録された薬物で、覚醒作用(集中力・記憶力の向上)が良く知られていますが、他にも利尿作用(デトックス効果)や疲労回復作用があり、最近では認知症に対する効果も注目されています。
このカフェインの効能、特に覚醒作用を活かすためには、
・朝はルーティンを終えた食後
・昼の小休憩(仮眠)前
・午後のコーヒーブレイク
など、終日少量か中程度の量を何回かに分けて摂るようにしましょう。あくまでも過剰摂取(「罪」)には気を付けて!
(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)