独特の香ばしさがあるスパイスの「ごま」ですが、小さな粒の中に豊富な栄養・健康成分が含まれていることはあまり周知されていませんし、それ故か食生活では活用が十分ではないようにも思います。

 

本稿では、食べる丸薬とも呼ばれる「ごま」の健康パワーについて、改めて紹介します。

 

まずは、ごまの主な栄養・健康成分について挙げます。

 ・脂質(約55%):不飽和脂肪酸のリノール酸(ω6)やオレイン酸(ω9)が多い

 ・タンパク質(約20%):必須アミノ酸のメチオニンやシスチンが多く、リジンが少ない

 ・炭水化物(約15%):糖質が3割、残りは食物繊維(約10%)で不溶性がほとんど

 ・ゴマリグナン(約1%):セサミン・セサミノールなど強い抗酸化力をもつ

 ・ビタミン:B群とE(γ-トコフェロール:活性はαの1/10)が多い

 ・ミネラル:カルシウム・マグネシウム・鉄が多い

このようにごまは、植物性食品の中でもトップクラスの豊富な栄養素を含み、かつゴマリグナンという強い抗酸化成分も存在していて、健康パワーが溢れる優れものなのです。

 

さて、市販のごまには、色として・金、形状として「いり」・「すり」・「むき」・「練り」などがありますが、手頃なのは太字のもののはずです。

ではこれらのごま製品で栄養の違いはどの程度あるのでしょうか(下図)。

 

 

このように栄養成分表示を見る限り、色の黒と白、また同じ白の「いり」と「すり」で、表示の含有成分にほとんど差は認められないことが判ります。

 

ただ栄養成分表示には表れない違いがありますので、言及したいと思います。

 ・には色素としてアントシアニンが含まれるので、抗酸化作用が増す

 → 黒は白より香りとコクがあり主張の強い味で、白は甘味があり控えめな味なので、使い分けると良い

 ・「いり」は炒ることで香りは出るが、粒のままで硬い殻で覆われているので、噛み砕かれずに飲み込んでしまって栄養にはなり難い

 → 栄養重視なら「すり」にすべき。すり鉢ですることで「いり」は「すり」に、「すり」は「練り」にできる

 

最後は、ごまを使った一段階上の抗酸化力を持つ「抗酸化アーモンドごま」についての情報です。

 

新型栄養失調の人が多数いる現状に警鐘を鳴らしたいと考案された(伊藤明子医師)ものです。

 ・作り方:アーモンドパウダー(弱火で2~3分炒ったもの)とすりごまを同量混ぜる

ごまのセサミンやアーモンドのα-トコフェロールなどの抗酸化物質が多く、酸化(錆びる)させないだけでなく、糖化(焦げる)の抑制にも効果的ということです。

 

すりごまにしろ抗酸化アーモンドごまにしろ、健康パワーがあるといえども摂りすぎは禁物で、1日大さじ2杯程度を毎日摂るのがお勧めです。

ごまは、ご飯や焼きソバから汁物、ヨーグルトやプリンなどのスイーツまで、ちょい足しできて良いアクセントになりますので、是非、より有効活用して恩恵を受けてください。

 

(本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)