前稿(2024.1.26配信)で、栄養にならない食物繊維が第六の栄養素と称される理由(健康効果)について紹介し、その中で、食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、両者のバランスを取りつつ不足がちな水溶性を意識して選ぶべき、と結びました。

 

 

本稿では、食物繊維を豊富に含む具体的な食材について、主に紹介します。

 

まず、水溶性と不溶性それぞれを多く含む主な食材を挙げますので、大雑把に把握してください。

 

 (B& (beautynation) のHPより引用)

 

もちろん、これらの食材にはほぼ両者の食物繊維が含まれていて、どちらが多いかを目安にした分け方になっています。

 

そこで、もう少し個々の食材での食物繊維の中身を見える化したのが、松生恒夫氏(消化器内科医:腸のエキスパート)です。

自身が考案した「サルバブル・ファイバー値(S・F値)」というのがあります。これは、食材の食物繊維の総量に占める水溶性食物繊維量の割合を示した数字(水溶性/総量×100)で、数値が高いほど水溶性食物繊維の含有量が多い(下表(*))のです。

 

彼は長年の診療経験や研究から、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は「2対1」の割合で摂ることを提唱していて、不足がちなる水溶性を意識すべく、その目安になる「S・F値」を考案したとのことです。

 

  食材名 食物繊維 S・F値
    (g/100g)  
  精白米(ご飯)   0.3    0
  もち麦ご飯
玄米
   1.9 
   1.4
  47
 14
   穀類 そば(茹で)    2.0  25
    うどん(茹で)   0.8  25
  パスタ(茹で)   1.7  29
  食パン   2.3  17
  ライ麦パン   5.6  36
       
  ブロッコリー(茹で)   3.7  22
  レタス   1.1  22
  キャベツ   1.8  25
  きゅうり   1.1  18
  ごぼう(茹で)   6.1  44
  トマト   1.0  30
   野菜・ オクラ(茹で)   5.2  31
     芋類 かぼちゃ(茹で)   4.1  22
  大根(茹で、皮むき)   1.7  47
  人参(茹で)   2.8  33
  玉ネギ(生)   1.6  41
  青ピーマン(生)   2.3  26
  サツマイモ(蒸し)    2.3  26
  ジャガイモ(蒸し)   1.8  33
       
  アボカド   5.3  32
  キウイフルーツ   2.5  28
  グレープフルーツ   0.6  33
  パイナップル   1.5   7
   果物類 バナナ   1.1   9
  ぶどう   0.5  50
  みかん   1.0  50
    1.3  46
  リンゴ(皮むき)   1.4  29
       
  えのきたけ(茹で)   4.5   7
   きのこ・ きくらげ    5.2   0
     藻類 わかめ   3.6    ー
  焼きのり     36.0    ー

 

なお、主菜となるタンパク質の多い肉類や魚類には、食物繊維はほとんど含まれていないので、挙げていません。

 

最初に挙げた「穀類(主食)」では、普通のご飯や食パンにもち麦やライ麦を混ぜることで、食物繊維量もS・F値も上がることが明らかなので、勧めます。

また、最後に挙げた「きのこ・藻類」は食物繊維が多いイメージ通りですが、前者は水溶性がほとんど含まれず、後者の藻類は水溶性が豊富とされていても測定不能(-)なものが多いのです。

その他、太字は食物繊維量とS・F値、あるいはそのいずれかが高い食材ですが、それ以外でも使用頻度が高い食材にも注目しましょう。

 

いずれにしても、まず食物繊維の摂取不足解消を前提に、善玉菌のエサになり腸活にも有効な水溶性食物繊維を意識して摂ることを、改めて心掛けてください。

 

((*)松生 恒夫:低カロリーで)食物繊維の多い食材を見分ける方法(日経Gooday,2021.1.29)を参照し、一部改編・引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)