「タウリン」という化学物質をご存じでしょうか。
そもそもタウリンは、ヒトの体重の0.1%を占めていて様々な臓器や組織に広く含まれていることから、生命維持に必要な成分と考えられています。
赤ちゃんが飲む母乳や粉ミルクにも含まれており、生命の素と言っても過言ではありません。
本報では、そんな重要成分であるタウリンについての情報を提供します。
タウリンはアミノ酸の一種との記述が多く見られますが、正確にはアミノ酸ではないのです。
アミノ酸と言えばタンパク質を構成する成分として20種あり、それ以外にもGABA(γ-アミノ酪酸)やテアニン、シトルリンなどの機能性成分もありますが、タウリンはそのどちらにも属してはいません。あくまでも、含硫(イオウ(S)を含む)のアミノ酸様化合物です。
かといって、タウリンの価値が下がるわけではありませんので、体内での効果について確認していきます。
まずは既に周知されている効果を挙げます。
・肝臓や心臓の機能を高める
・胆汁酸と結合してコレステロールを減らす
・動脈硬化や高血圧を予防する
・インシュリン分泌を促して糖尿病を予防する
・視機能を改善する
・筋力を改善してむくみを予防する
さらに最近、動物実験でタウリンを毎日摂取させた結果やヒトで健康指標を用いて評価した結果が報告されました。
・マウスでは、寿命が10~12%伸びた(中年からの摂取では18~25%伸びた)。
・マウスより寿命が長いアカゲサルでは、体脂肪が減少して免疫系の健康が改善された。
・ヒトでは、タウリン濃度が高いほど糖尿病や高血圧が減り肥満も少なかった。
これらの結果は、タウリンが老化を遅らせて寿命を延ばす可能性が示唆された(ヒトでの直接的な効果が実証されたわけではない)と言え、ヒトでの臨床試験が待たれます。
ヒトでのタウリンレベルは年齢とともに減少しており、平均的な60歳では5歳児のレベルの約3分の1であるとのことですので、日頃の飲食物で補うことを心掛けましょう。
タウリンの1日摂取量としては、特に定められてはいませんが、500~2000mg程度が推奨されています(日本人を対象とした実態調査では100~200mg/日との報)。
タウリンは食品では魚介類に含まれるが、特に魚類以外の
・牡蠣、ホタテ、ハマグリ、アサリ等
・イカ、タコ、エビ等
に多い(数百~1000mg/100g)です。水溶性なので、汁ごと摂ってください。
飲み物としては、市販のエナジードリンクやビタミン剤に1000~3000mg/本含まれるので、表示で確認してください。
いずれにしろ、タウリンを意識(特に中年以降の方々)することで、日常の生活の中で少しでも摂取量が増えるようにすることをお勧めします。
食品に頼るよりも、廉価なビタミン剤を1日1本(タウリン1000mg?)飲むのが現実的かも知れません。
(Forbes JAPAN:タウリンの記事(2023.6.10 & 6.24)を参照し、一部改編・引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)