WHOとは世界保健機構の略称ですが、先日、低カロリーを謳う飲料や食品に使われる甘味料をめぐり、摂取を控えるように勧める指針をまとめた、との新聞記事が一面トップに載りました(*)。

 

そこで本報では、まずWHO新指針の概要を紹介し、甘味料の種類を押さえた上でその控えるべき対象と根拠に言及します。

 

まず、WHO新指針の概要(*)は次の通りです。

 ・体重管理や病気予防のために甘味料を利用しないことを推奨

 ・非糖質系甘味料の研究報告283件を分析

 ・大人でも子供でも長期的には体脂肪減少に役立たない

 ・大人では糖尿病や心血管疾患のリスク上昇の可能性も

 

改めて甘味料の種類をまとめると、下表の様になります。

                (KanroのHPより引用)

 

WHOが研究報告を分析した対象の非糖質系甘味料は表の下で、天然のステビアや合成(人工)のサッカリン・アスパルテーム・アセスルファムK・スクラロースを指しています。いずれも甘味度が砂糖の数百倍なので極少量で甘くなり、かつ低カロリーです。

さらにここでは、上の糖質系甘味料の中で、糖アルコールも人工甘味料として位置づけます。

 

さて、WHOによる非糖質系甘味料の研究報告の分析結果

 ・3ヶ月以内の短期間では体重やBMIを下げる効果があったが、6~18ヶ月になると体重を減らす効果はみられなかった。

 ・長年摂取した場合、2型糖尿病の発症リスクは20~30%、脳卒中は19%、心血管疾患全体では32%の増加がみられた。

というものでした。

 

そしてWHOの担当者の見解

 ・体重管理には果物、無糖の飲料や食品など、他の方法を検討する必要がある

 ・非糖質系甘味料は必須ではなく栄養もないので、早いうちから食事の甘味を減らすべきだ

ということでした。

 

次に、糖質系甘味料に属する糖アルコールについてです。

表示としては上の表にもあるように、○○(ト)―ルや還元△△とあるのがそれに当ります。

 

糖アルコールに共通する特徴は、甘味度は砂糖と同じかやや低いが、代謝されにくいので低カロリーかほぼカロリーゼロです。また非う蝕性(虫歯予防効果)だが、多量摂取で一時的に緩下剤(下痢を起こす)として働きます。

 

糖アルコールの中では、特にエリスリトールが注目です。

エリスリトールは、血糖値の上昇が起こさず、後味が残らずにかつ緩下剤効果も低い、という特徴が重宝されて、食品業界が好んで使っています。また、非糖質の天然甘味料であるステビアやラカントの主成分でもあるのです。

このエリスリトールに、血栓や脳卒中、心臓発作や死亡リスク増大との関係を指摘する論文が、つい最近発表されたのです(科学誌Nature Medicine(2023.2.27))。あくまで関係性であって、エリスリトールそのものによってリスクが生じていることを証明したわけではないのですが・・・?

 

いずれにしても、これらの人工甘味料が低カロリー=ヘルシーだからと信じて、無頓着に飲食することは控えた方が良いですし、特に摂取の頻度や量が多い甘い物(これからの時期は清涼飲料など)は、含まれている甘味料を表示等で確認して自衛すべきではないでしょうか。

 

((*)の本経済新聞:WHO「甘味料控えて」(2023.6.12)を参照し、一部改編・引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)