いじめを受けていた神戸市立中学校3年生の女子生徒(当時14歳)が2016年10月に自殺し、同級生からの聞き取りメモが隠蔽された問題
市教委幹部の指示で隠蔽する方針が決まった後、当時の校長が教職員らに「メモは存在しないものとして扱う」と伝えており、なおかつ、裁判所にも隠していた。
…ということが、報道されていましたが、もし真実なのであれば、ひどすぎますね。
 
大人の姿勢を見て、子どもは育つ。
自殺に追い込まれるまでにいじめが悪化したのも、こうした大人が運営する組織(学校)風土の影響があるように感じるのは、私だけでしょうか?
 

ところで、小学4年から中学3年までの6年間で、いじめの被害もしくは、加害経験をする割合って、どれくらいか、ご存知ですか?

 

国立教育政策研究所生徒指導研究センターの「いじめの追跡調査」(2013年)によると、その6年間で、いじめの被害を受けた経験のある子どもは9割弱、いじめの加害経験のある子どももまた9割弱いたとのこと。

 

いじめの被害経験も、加害経験も、9割弱って…!

 

初めて、このデータを知ったとき

「なんて、日常化しているか」

と唖然としました。

 

国も、いじめ防止対策推進法を策定し、力を入れてはいますが、

「これだけ日常化しているなか、またLINEなどの普及によりいじめの存在が見つけにくくなっているなか、コントロール型アプローチには限界があるのではないか」

「暴力を力でおさえる方法は、叱られないために、先生に見つからないようにしなくては、と考える子どもをかえって増やしてしまうことになりかねないのではないか」

「いじめに焦点を当てて取り除こうとする疾病生成志向ではなく、いじめ問題も、安全と元気に目を向けた健康生成志向で取り組むと良いのではないか」

と考えるようになりました。

 

そこで、数年前に「健康生成的にいじめ問題を克服する7つのステップ」を開発し、

何度か、当時、教鞭をとっていた大学の学生と実際にやってみて確認したのですが、

「健康生成的になるって大切。中学校・高校のときに、やりたかった」

という意見がよく聞かれたため、その後、

第25回日本健康教育学会と、第63回日本学校保健学会でお披露目、研究者や教員の皆様と使い勝手を検討し、

 

image

 

著書『生き抜く力の育て方:逆境を成長につなげるために』(大修館書店)p141~p155で公表しました。

 

以来、高校等でも、少しずつ、直接、伝えることができるようになりましたが、

 

 

私の著書を読んだり、講演に呼んでくださるのは、やはり、意識の高い学校だけなのですよね……。

 

今回の神戸のケースのように、本当に問題を抱えた学校への介入をどうしたらいいのか、が課題です。 

 

さいごに。

 

4月にクラス替えが行われ、新たな人間関係、力関係が構築されつつある、この時期に、いじめが始まることが少なくありません。

 

教員や家族は、子どもが出す小さなサインや違和感を、見逃さないでくださいね。

 

そして、一人でも多くの教員に、「健康生成的にいじめ問題を克服する7つのステップ」を理解し、日常の学校生活のなかで活用していただけたら幸いです。

 

スケジュール等の条件が合いましたら、どこへでも講演等に伺いますよ! ご興味のある方は、こちらまで。

 

 

■著書『生き抜く力の育て方:逆境を成長につなげるために

生き抜く力のメカニズムを理解したうえで「効果が確認されている、エビデンスに基づいた確実な方法で、生き抜く力を育もう」という内容の本です(詳細は、こちら)。「健康生成的にいじめ問題を克服する7つのステップ」は、p141~p155をご覧ください。

 

image