もし前回の給油が3カ月も前のことであれば「ガソリンが古くなってしまったけど、大丈夫かな」と心配になるかもしれない。実際に“ガソリンは腐る”と言われることがある。放置された燃料は劣化してエンジンや燃料系に悪影響を及ぼすこともあるのだ。
そもそも“腐る・腐敗する”という表現は、有機化合物のガソリンには当てはまらない。劣化した状態を“あえて”そう言っているだけであって、「ガソリンが腐る」とはつまり、水や鉄など不純物の混入や酸化、揮発成分の抜けなどにより本来の性能を発揮できない状態のことだ。
劣化した状態はもちろん、新鮮(?)なガソリンを見ることもあまりないだろうが、プレミアム/レギュラーともに製油会社が薄いオレンジ色に着色している。これは軽油(無色透明~薄黄色)や灯油(無色透明)などと見分けられるようにするためだという。
新しければキレイな色をしたガソリンも、劣化すると茶色く、徐々にドス黒く変色していく。粘度も高まってドロドロに、そして耐えがたい悪臭を放つというからおぞましいことこの上ない。こうなってしまうと、エンジンがかからないだけでなく燃料系を目詰まりさせるトラブルも引き起こす。
もしやむを得ずクルマを1年以上の長期間放置してしまった場合は、エンジンをかける前に給油口から匂いをチェックしてみるといいかもしれない。ここでもし腐っている可能性を感じたのであれば、JAFや自動車修理業者のレッカーを呼んで、古いガソリンを抜いてもらうことも考えよう。
食品のような賞味(消費)期限が書いているわけではなく、ガソリンの使用について明確な期日はない。しかし、エネオスやエッソなどにガソリンを供給しているJXTGエネルギーでは、燃料の劣化しない保管限度について表記している。“気温の変化が少ない冷暗所での保管”という条件をつけて、「ガソリン・灯油・軽油は6カ月程度(ただし、品質を保証するものではない)」としているのだ。
ただ、実際のガソリン(クルマ)の保管場所は、地下駐車場や露天駐車場などさまざまだ。3カ月ぶりに給油したらパワーが上がったように感じることもあったので、つねに劣化しているということを頭に入れておこう。そして、長期間放置する予定があれば、その前にガソリンを抜く、もしくは使い切ってタンクを“カラ”にする。そして、使用前にガソリン携行缶を使って新しい燃料を入れる。手間はかかるが、故障というリスクを考えるとやっておいたほうが無難だ。
webモーターマガジンより一部抜粋