東京・中央区で走行中のバイクから15歳の少女が転落し、後続車に轢かれて死亡する事故が起きた。無免許でバイクを運転し、少女を救護せずに現場を立ち去ったのは、友人の16歳の少年だった。直接轢いていない少年に「ひき逃げ」は成立するのか。また、実際に少女を轢いた後続車の運転手も罪に問われるのか。
少年は事故後、警察に出頭し、現場を立ち去った理由について「事故でパニックになってしまったため」と説明しているという。
道路交通法では、救護義務は直接相手を轢いた運転手だけに課されるものではない。事故の当事者と認められる運転手にも課される。例えば、急ブレーキや急ハンドル、バランスを崩したことなど、バイクの走行状況が原因で同乗者が転落したと判断されれば、バイクの運転手も事故の当事者となる。
しかも、「直接轢いたのは後続車だから、自分には関係ない」という言い訳は通用しない。自分が運転する車両から同乗者が転落した場合、その態様を問わず、運転手には直ちに負傷者を救護する義務が発生するというのが最高裁の判例だからだ。
救護を怠ってそのまま現場を立ち去れば、直接轢いていなくても救護義務違反に問われる。さらに、転落が少年の運転上の過失によって生じたと認められれば、これに対する刑事責任も問われることになる。
警視庁は少年を道路交通法違反(救護義務違反)と自動車運転処罰法違反(無免許過失運転致死)の疑いで逮捕しており、こうした法的構成を前提としているとみられる。
一方で、実際に少女を轢いた後続車の運転手については、必ず刑事責任を負うわけではない。刑事責任を判断するうえで重要となるのは、危険を予見し、その結果を回避できたかどうかである。
例えば、前方を注視していれば転落した少女を早い段階で発見できたのか、その危険を認識したうえでブレーキやハンドル操作によって衝突を避けられたのかなどが詳しく調べられる。危険を予見し、その結果を回避することが可能だったにもかかわらず衝突したのであれば、過失運転致死傷罪が成立する可能性がある。
しかし、目の前で突然少女が転落し、危険を事前に予見することが困難で、制限速度や車間距離を守って走行していても物理的に回避できなかったと認められる場合には、過失が否定され、刑事責任を問われない可能性もある。
今後の捜査では、バイクの所有関係や入手経路、当時の速度や走行状況、少女が転落した具体的な原因に加え、ヘルメットの着用状況や飲酒運転の有無など、多角的な視点から事故の全容解明を進めることになる。
こうした事実関係は、少年だけでなく、後続車の運転手の刑事責任を判断するうえでも重要となる。事故時点だけでなく、その前後の一連の経過をも総合的に検証したうえで、それぞれの運転手について個別に法的責任が判断されるためだ。
ただし、少年は16歳であるため、少年法に基づいて家庭裁判所に送致され、事故の態様や責任の重さを踏まえて、保護処分や刑事処分の要否が判断されることになる。(了)
前田恒彦 エキスパート
元特捜部主任検事

2026年9月1日から、道路交通法の改正により、生活道路を走る自動車の法定速度がこれまでの「時速60キロ」から「時速30キロ」へと大幅に引き下げられます。
この記事では、警察官が生活道路でどのように取り締まりを行うかについてお伝えします。
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■7割が、30キロ対象の「生活道路」 法定速度が30キロに制限される「生活道路」とは、主に住宅地や商業地の中にある地域住民が日常的に利用する道路で中央線がない比較的狭い道路のことです。 国内の国道・都道府県道・市町村道のうち「およそ7割」が対象に該当します。 これまでの感覚で60キロで走ると「30キロオーバー」となり、一発免停になる可能性もある、ということになります。
■30キロ…どうやって取り締まる?
長崎県警交通指導課によりますと、取り締まりはこれまで同様レーダーなどの速度測定装置を使って行われます。また白バイなどが同じ速度で走って認定する追尾測定などでも行われ、測定値によって違反が明らかになった場合は検挙するということです。目視等での認定は行われません。 事故抑止のため、交通事故が多発している場所や近隣住民などから要望があった場所で、可搬式の装置などを使って取り締まりを行っていく可能性があるということです。
■実は公開されている「速度取り締まりの路線と時間」 警察では、過去の事故や違反データの分析に基づき、重点的に取り締まりを行う日時、場所、路線などを定めた実施計画を策定しています。さらにその一部は、各警察署のホームページで公開しています。 事前告知されている場所や時間以外にも取り締まりは実施されていますが、県警では公開情報も参考に安全運転につとめ、事故防止につなげてほしいとしています。
■生活道路では「いつでも止まれる速度」で 生活道路は見通しが悪い場所や死角が多い場合もあります。いつもの通い慣れた道こそ、「少しゆっくり」「安全に」を心がけ、新しい交通ルールを遵守しましょう。
長崎放送