僕が実家の酒屋の二代目になったばかりの頃、自動販売機に入れる為の商品の在庫置き場みたいな状態だった店内。
その片隅に申し訳なさそうに並ぶ魅力のない商品達。
リーチインの電源はoffのまんま。。
僕が店内から真っ先に削除しようとした商品が日本酒だった。
こんなまずい酒、誰が買うねん![]()
こんな感じだった。
ある日、一人のサラリーマン風のお客さんがやってきた。
いらっしゃいませ・・・![]()
小さい声の僕。
右も左もわからない若造。
接客の仕方も分らなかった。。
そのお客さんは日本酒が大好きなお客さんだった。
ちなみにその人が探しているお酒は特殊な地酒で僕の店みたいな所にはあるはずがなかった。
でも僕に向かってお客さんはこんな事を言ってくれた。
旨い日本酒が近所で買えたら良いのになぁ。
いつも市内まで時間かけて行かな買えへんから近所で気軽に買えたらなぁ・・・。
なぁ、君は日本酒好きか?旨いぞ、日本酒は。
頑張って兄ぃちゃんがこの店盛り上げてぇや。
そう言ってそのお客さんは立ち去った。
・・・・・・・・・・・・。
僕の中で衝撃が走った。
こんな潰れかけの酒屋やのに応援してくれてる人かておるんや。。
よし、頑張ってみよう。
まず一般の消費者と同じように商品を購入してみる事にした。
そして届いた商品を呑んでみてまたもや驚いた。
こりゃ、旨い
めちゃめちゃイケる。
あんなに日本酒が嫌いだった僕にそう思わせてくれた日本酒だった。
その事があってから僕は日本酒が大好きになった。
色んな銘柄を呑むようになった。
僕はなんとか取引できないものかと思いあのお客さんの教えてくれた銘柄を醸造している蔵元に手紙を書いた。
今の現状や気持ちを正直に綴った。
嘘はつきたくなかった。
それからしばらくして、その蔵元から取引OKの電話があった。
僕はあの時のお客さんが再び家の前を通りかかった時に、その事を報告した。
あのお客さんの嬉しそうな顔が今でも忘れられない。
僕が営業時間を夜23時頃まで延長したのはそのお客さんが毎日仕事から帰ってくるのが遅いから。
そのお客さんがいつでもお酒が買えるために。
けど、その人にそんな事言えない。
でも本当に感謝してます。
あのお客さんは僕のお店の原点です。
ありがとうございました。














