シンガポールに到着したのは随分遅い時刻だった。
東南アジアに来て僕はようやくおなじみの自動販売機を見つける事が出来た。
それに信号機や横断信号も。
おぉ、何か日本みてぇだ。
そう思ったら親近感みたいな感情が僕をホッとさせた。
それと同時に緊張の糸がブツンッと切れた音がした。
あぁ、、ダリぃ・・・・。。。
喉がカラカラだ。
バックパックを背負った僕を興味のまなざしで見つめてくる現地人。
その外観はまるで中国人の様な人達が多い。
僕は気にせず近くの公園のベンチに疲れきった身体をドカッとあずける。
まずは一呼吸、今いる場所がどこなのか確認を急ぐ。
・・・・・。。
ちょっと、待て。全然わかんねぇ!!(泣)
それに僕は大事な両替をすっかり忘れちまってた。。。
俺、リンギット(マレー通貨)しか持ってねぇし・・・・。
こんな時間に両替商なんかやってる訳ねぇか?
やっべー・・・、今夜は野宿ってかぁ!?
でも遅くまで営業している両替商があるはず。
僕はガイドブックに載っているタウンの地図を死に物狂いで追いかける。
知らぬ間に首が縦や横に移動する。
俺はまるで路地裏の薄暗い迷路のような道に迷いこんだ哀れな野良猫野郎。
水が欲しい。。
それに食いモンも。
マジで笑えねぇ。。
無い、無い、両替商のマークがねぇ!!
朝まで耐えろってのか?
全く知らねぇ町で?
JBで見た様なイカれインド人のギャングが来たらどうする??
僕は必死だった。
もっと落ち着いて探せばきっとあるはず。
冷静になれ、俺。
んで、ようやくリトル・インディアンエリアの中で見つけた両替商のマーク。
あ・・あった!!
めっちゃ大げさやけど、助かったぁ~。
きっと普段の僕ならもっと早くに気が付いていたはずなのに緊急時になると人間は、なんて弱い生き物なのだろう??
目の前のオアシスに気が付かない砂漠の旅人のようだ。
こうしちゃいられねぇ。
今すぐ移動だ。
とにかく為替レートの良し悪しなんかカンケーねぇ。
クソくらえだ。俺はシンガポールドルが今すぐ必要なんや。
9時間以上バスに揺られた身体が悲鳴を上げる。。
かまわねぇ、動け足!!
しかし僕は地図を何度も確認しながら歩いていたのにも関わらず、全く目的地の両替商に辿りつけない。。
体中の水分と気力がどんどん抜けていく。
なんで辿りつけねぇんだ、マザファカー・・・・。。
確かに俺はリトルインディアンにいる。
日本にあるアジアン雑貨のようなお香の香りが溢れている。
確かにこの辺りにあるはずなんだが・・・。
なのに辿りつけねぇ。
おいこりゃ、アレか?
遂に俺もイカれ野郎になっちまったのか??
ちくしょう!!一体いつまで歩かせる気だ、この野郎・・・・・・。
何度も同じ道を通る度にいつの間にか露店のインド人や公園でたむろってやがる札付き共と顔見知りになる僕(笑)
テメーら 何ニヤニヤ笑ってんねん!?
ギャグちゃうぞ!
あぁ~、、、bull shit!!
まるで環状線のローリング族。
グルグル同じ通りを横切る僕を見かねてか、一人のファットなインド人が声をかけてくれた。
よう、兄弟。何処に行きたいんだい?
黒くて大きな手に僕のガイドブックがゆだねられた。
う~ん、この両替商なら知ってるぜ、ついてきな。
そう言うと僕を手招きして見せた。
夜のネオンに浮かび上がる真っ黒なインド人の兄ちゃん。
ニコッと笑った時の真っ白な歯が眩しく感じた。
案内された場所はすぐ近くだった。
それに僕は腹が立った。。
ちぇっ、何でやねん。
兎に角親切な兄ちゃん、ありがとう。
彼はまた真っ白な歯を見せびらかして立ち去っていった。
僕はどうにかこうにか1万円分のシンガポールドルを手にする事が出来た。
しかしまだまだ仕事が残っている。
次は宿探しだ。
シンガポールは物価がやけに高い。
僕の求める安宿は皆無に等しかった。
深夜2時。
僕はようやく安めの宿にあり着く事が出来た。
僕が今回泊まったのはドミトリー(以下ドミ)で大人数が寝泊まりする共同部屋だった。
すでに先客共が下品ないびきを立てていた。
すでにドミの空きスペースはほとんどなく、僕がチェック・イン出来た事はマジで奇跡に近かった。
僕は倒れ込むようにベッドに転がった。
つづく