読書『「民都」大阪対「帝都」東京』 原武史 講談社学術文庫 | 筆任勢(ふでまかせ) 林道雄

筆任勢(ふでまかせ) 林道雄

料理、読書、ネコなど思いつくままつぶやきます。

 

大坂私鉄大国と帝都東京の国鉄。このような2項的な対立が

あって、阪急と国鉄の高架クロス問題などの事件があったことは

全く知らなかった。

 

私鉄王国の大阪が天皇の行幸を境に帝都の権力構造の中に

組み込まれていく様を描くのは卓見だと思う。天皇と鉄道、

鉄道と権力という視点で物事を描いていくこの着想が素晴らしい

し、全く気付かなかった政治思想史を提示してくれている。

 

1925年ごろは東京には文化教養人が遊ぶようなところは

なかった。大阪の方が文化的にはるかに優越していた。

という記述も歴史の中で忘却されて事実の発見として

素晴らしい。

 

ホンコンとか橋本徹とかがでたらめな言説を

まき散らして維新のでたらめを放置している今の大阪の

教養人のていたらくを考えると昔の文化水準の高い大阪は

今では想像しがたい。