私は埒が明かないと夫の会社に電話してみた。
当時、転職を繰り返していた夫の職場に連絡するのは初めてで、以前預かっていた名刺の部署が変わっているのかすらわからない。
この当時、義実家から義父の会社に転職しろと圧がかかっていたこともあり、転職癖がある夫と、義実家絡みや前妻の日々のトラブルで信頼なんて全くなかった私たち夫婦。
夫婦関係は完全に冷え切っていた。
私は夫が本当に出勤しているのかすら疑わしいと思っていた。
受け付けに「出勤されていません」と言われたとしても、「やっぱり」と思ってしまうだろう。
この頃の夫婦関係は疑心暗鬼でしかなく、受付が電話を繋いでくれるまでの時間がただただ、苦痛だった。
しばらくして、不機嫌な夫が電話口に出た。
「スマホから折り返すから待っていて」
すこぶる機嫌の悪い夫の声を聞いて、私は「あ、本当に出勤していたんだ」と妙に納得してしまった。
会社に出勤するとシレッと出ていき、義父の職場への転職の準備をしているのか、前妻に呼び出されまた子どもの世話を押し付けられているのかと思っていた。
普通に出勤しているだけで疑われる夫もかわいそうではあるが、普段の行いを考えたら自業自得。
それくらい破綻していた信頼関係。
会社の外に出たのか、ビルの強風にあおられるような音がしながら、夫から折り返しの電話が来た。
私は義母の状況を伝えた。
「LINEに書いた通りだけど。
義母さん、話している途中で、大きな音がして、呼び掛けに応じない。
いつもみたいにものに当たったのかと思ったけど、返答もない。」
私の言葉を聞くや否や、夫は激高した。
「お母さん、ものに当たるなんてしないよ!なんでそんな言い方しか出来ないわけ?」
……論点はそこではないだろう!と思うところに食って掛かる。
いつものことだが、夫が被害妄想を炸裂させ、喧嘩腰になると会話が通じなくなる。
義母はあんたの前ではしないことを、
嫁の私の前では平然とやるんだよ!
どんだけ母親に幻想を抱いているんだ!マザコン!
と言い返してやりたい。

