あらかじめ予約していた別室に移動する。
｢江原さん。
名誉毀損だ、プライバシーの侵害だ
と言われたくないので、
公然ではない場所に移動しました。
あなたの配偶者は、
新しく入ってくる歯科助手や、衛生士を見下し、常に怒鳴り飛ばしている。
なんなら、物を投げ飛ばすとか。
これは、複数の方が、証言されています。
当事者以外に、通院されている方や、
ネットの書き込みもあります。
自分でセキュリティ会社を依頼して
防犯カメラに一連の記録が残り、
自分が逮捕される
盛大な愚者ですね。
特に、言葉によるセクシャルハラスメント。
こちらも同様。
自分の夫が、
女性スタッフにセクハラをしている時点で、
心中穏やかではいられませんよね。
だからギャーギャーいつも
シングルを見下して満たされようとしているとか？
まぁ、私にはあなたの配偶者の犯罪なんて
どうでもいいですけど。｣
｢そんなの、あんたが聞いただけで
証人を連れてこない限り、私は認めない！
バカにするのもいい加減にしなさいよ！｣
｢証人。
呼んでもよいですよ。
ここで争いますか？
夫の代わりに？
そもそも、被害者の方があなたと
話をしたいかが優先です。
どうでもいい妻と
くだらない話し合いをするより、
加害者を直接、訴えた方が早いので。
私が被害者なら、あなたなんか
相手にしません。
時間の無駄ですから。
ただ、夫婦で訴えられるのは
個人的には見物ですね。
ゆうりちゃん、こんな両親でかわいそうね。
夫婦揃って犯罪者とか。
シングルの家庭は泥棒すると、子に教えるより
ゆうりのお父さんはパワハラとセクハラで大勢から訴えられるのよ。
お母さんも傷害罪。なんて自虐もここまで来るとさすがにね。
次のPTA会長、探すのも大変ですよ。
いつ戻ってこられるかわかりませんものねぇ。｣
｢……｣
｢娘に露骨ないじめを行うに飽き足らず
ひっぱたき、傷害を負わせ、
学校でもくだらない指示を出す。
それでもまだ満たされずに
学童にも悪意ある噂を派生させ
娘を徹底的に傷つけた償いは
司法の裁きを以て、していただきますが。
私からひとつ、司法の結論が出る前に
あなたに
報復という名のプレゼントです。
あなたの配偶者は、愛人がいらっしゃるそうで。
不倫しておきながら、
スタッフにもセクハラとは
ずいぶん気持ちの悪い
最低、最悪の配偶者ですね。
夫婦で話し合う時間すらないのは
他にも帰る家があるからなんて
理由はちょっと…ねぇ。
離婚しないんですか？
あぁ、シングルはろくでもない家庭だから
離婚したらダメなんでしたっけ。｣
｢夫が不倫！！そんな話、
どこから作り上げたのよ！！｣
｢あら、知らぬが仏でしたか。
こちらは、ご本人、呼び出します？
不倫は、された側には罪はないですからねぇ。
お二人でバトルしていただくのは結構ですが、
まずは、私の娘があなたにされたことの
今後についてが先です。
私にはあなたが不倫されようが関係ない。
これから法的手続きに入りますが
覚悟は
よろしいか。｣