加害者から慰謝料を受け取るときの気持ち② | 結婚生活のリアル。子育て世代取扱説明書

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1女2男の3人育児に奮闘中!
我が家はステップファミリー。見栄なんかいらない。
育児、ママ友、親戚付き合い、夫婦のこと等、子育て世代が避けては通れぬ問題にリアリティー溢れる痛快な切り口で言及。
試行錯誤しながら、前向きに生きていきたい!


支払期日が迫り、弁護士が催促する際、

「親に立て替えてもらえないのですか」と促した。

加害者から出た言葉は
「お父さんが厳格すぎて怖くて言えない」

成人し、教壇にかつて立っていた人間が
「親が怖い」と言う。

この男はまったく心が成長していないことを
実際に言葉で表現される衝撃。

「では、こちらから親に言っても良いが」と畳みかけると

「自分で言った方がマシだ」と泣く。

それほど厳格な親は
どう我が子の隠された性癖と、免許剥奪という事実、犯罪行為に反応するのか。




この時、我が家は実際、夫婦関係は最悪な状態になっていた。

中高一貫校だったこともあり、夫は6年間、通うなら事を荒立てたくないという。

私は、娘が加害者や学校に対してどうしたいのかの気持ちを優先したかった。

娘自身、加害者や学校を相手に闘えば、居づらくなることに葛藤しつつ、
それ以上の熱量で加害者を憎んだ。


まだ中学生が今後の展望をどこまで描けているかは正直、分からなかったけれど
少なくとも
「親が自分の気持ちを汲んでくれなかった」と思わせたくはなかった。

親が守ってくれない。そう未成年の我が子が思うことは辛い。



黙認して、一貫校で過ごすことも
居づらくなろうとも正義を貫くことも
もう感情のままにその時その時動くことも

まだ13才の中学生の娘にはどれもが本音であり、
恐怖と怒りのなかで揺れていた。


夫と私の意見が対立する。
夫の言い分も理解は出来る。
しかし、誰がそこで学生生活を送るのか。

ここを圧力でなかったことにして
結果、その押し殺された感情が年単位経過して爆発することもある。

現にPTSDを発症している時点で
忘れろ。なんとか耐えろ。中学生が考えるほど世の中甘くない。
そんなことを言いたくない。
それを教員から連日言われ続けた娘に
親も一緒になって加担したら
誰がこの子を守れるのだ。


「勝手にしろ」だの散々、夫からは言われた。
同じ方向を向いて進まなければならないときに喧嘩している場合ではないだろうと思うが、伝わらない。

そこに当時、頻繁に出入りしていた義母が面白半分に、子育てについて語り出す。

このストレスは尋常なものではなく
加害者と対峙するのと同じくらいの負担になっていた。




加害教員から
「お父さんが全額出しますと言ってくれました」と連絡が来た。

どこまで本当だか知らないが
「お父さんはただひと言、わかったと言ってくれました。
その言葉の重みに僕はなんて(親不孝な)ことをしてしまったのかと
改めて事の重大さに気づきました」と。


お前が後悔したのは、生徒を傷つけたことではなく、親不孝をしたことなのか。


そして、期日前に満額、慰謝料が振り込まれた。


 

 

 

 

この親がなにを思って成人した我が子の慰謝料を肩代わりしたのかは知らないが

“わかった”そのひと言で本当に済ませたのだとしたら。


なにを理解したのか問いただしたい衝動は実際にはあった。