数々の非道を記された法的効力のある書類に一瞬怯むも、
法律なんて関係ないと生きてきたこの男。
｢これを書けば二度と近寄らないんだよな｣
とさっさと署名捺印。
二通作成し割り印。
｢このクソが！｣と捨て台詞を吐いて去って行く。
ボスママ夫にしてみたらあの目障りなＡさんが消え、今までのことはなかったことに脳内変換される。
手元には車両修理費の他に多めに借りた金もある。
妻子を養わなくても済む。
自宅は手放さず
あわよくば次の仕事に就ける。
いいことしかない！
長女はひきこもり、自宅にも来ない。
次女も人目を避けた時間にしか会わない。
偽装離婚とは言え
ボスママは生活保護のため一切の支援はしなくていい。
完全に独身生活を満喫し始めたボスママ夫。
出会い系サイトに登録。
仕事帰りに次々、遊びほうける毎日が始まる。
近所の目も気にせず、女性を自宅に連れ込む姿は一気に噂となる。
入れ替わり立ち替わり変わる日々がしばらく続いたが、ある日を境に
特定の女性が日中、自宅に居すわるようになった。
明らかに女性物の服と、ボスママ夫の作業着やらがきちんとベランダに干されている。
夕方になるとそれらは取り込まれている。
夫。立場的には元夫だが。
の異変に気づいたボスママ。
鈴木さんと同じですね。洗濯物で元配偶者がいるか、否かを調べる方法。
そして何よりも最初に口にした
｢不倫した夫とサレ妻｣に自らがなる構図。
子どもによくないから、通学班を変えさせたかったんですよね。
蘇りますね。あの初回が。
借金返済をしたら元サヤに戻るはずが
夫の裏切りに気づき、逆上する。
同居している女の身元は
SNSで特定されて噂となっていた。
解雇された整備工場の事務員。
ボスママ夫よりかなり年上の厚化粧のこの女は、元々、解雇される前からの不倫関係にあった。
宣戦布告とばかりにバカ面さげた
ボスママ夫との写真をSNSにアップする。
互いに独身である。不倫ではない。
ボスママに何か言われる筋合いもない。
その情報は娘たちにも知られることとなった。
