ブルージュの青空博物館 | フーテンの無職 〜無職の大将放浪記〜

フーテンの無職 〜無職の大将放浪記〜

日本社会のレールから外れて、気の向くまま風の向くままプラプラと、あてどもなく彷徨う。そんな刹那的な人生を邁進中。


人生、酒と旅と本があれば、それで良い・・・

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   ブリュッセルで3日間過ごした私は、今度はブルージュという中世の街並みが今も残る世界遺産の街へとやってきた。ブリュッセルからは電車で片道14.8ユーロ、1時間の距離である。ブルージュは首都からほど近いので日帰りの観光客も多く訪れるのだ。


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   さすがは世界遺産認定の街だけあって、駅を出てこの街並みを目にした途端にタイムスリップしたかのような錯覚を覚えた。こうした中世の街並みはブルガリアやルーマニア、ウクライナ等でも目にしてきたが、西欧にもここまで見事な街並みが今も残っているとは驚きであった。グラン・プラスといいブルージュといい、どうやらベルギーという小国を少し侮っていたようだ。


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   小便小僧のジュリアン氏がここでも観光客たちを出迎えてくれる。なんと小便しながら中指を立てているのだ。この世に生まれて30余年、ここまで人を馬鹿にした態度を取っているヤツを私は他に知らない。


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   どこを見渡しても見事な街並みが視界いっぱいに広がっている。ただ歩いているだけで気分が高揚するのだ。歴史の生きている街並みを歩くのは本当に愉しいものである。ヨーロッパの家屋には建てられた年代が刻印されているものが多いが、100年200年前の家屋などはザラである。古いからといって、むやみやたらに建て替えたりはしない。なるほどアンティーク文化が根付いているわけである。モノは使えば使い込むほどに味が出ることを彼等は知っているのだ。


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   駅からブルージュの街並みをぐるっと辿るようにして歩き、そして街の中心にあるマルクト広場にやってきた。この広場の美しさにも目を見張るものがあり、広場を一目見た瞬間にグラン・プラス同様、思わず感嘆の声をあげてしまった。


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   瀟洒な建築群に巨大な鐘楼塔、広場をぐるりと囲む三角屋根の家並み。そしてその中をいくつもの馬車がカッポカッポと走り過ぎていく。ここにはまさに中世の時代が生きていた。


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   馬車を巧みに操る御者も、劇に出てきそうなほどに立派な風采をしている。ヨーロピアンの手にかかると何でも絵になってしまうのが不思議だ。


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   広場は多くの人々でざわめき、またのんびりと寛ぐ人々で溢れていた。欧米人の特徴は海でも山でもこうした名所でも、とにかくその空間に溶け込んでその場の空気を楽しむところにある。グラン・プラスでもブルージュでもアジア人は数多く見かけるが、その大半はカメラを構えてひとしきり写真を撮ると早々に去ってしまう。だが欧米人の多くはこうした場所に来るとゆっくりと腰を下ろし、会話を楽しんだり本を読んだりとアジア人とはまた違った寛ぎの姿勢を見せるのだ。根本的な時間の使い方が違うのだろうか。アジア人でこうした欧米人のような寛ぎ方をしている者を私はほとんど目にしたことがない。


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   またブルージュはその中世の建築物に加えて、こうした運河が街の中いたるところに張り巡らされており、そうした水路のある風景としても有名だ。ヨーロッパは川沿いの街並みが特に美しいのであるが、ことブルージュのような中世都市の街並みに運河が加わればもう非の打ち所のない景観と相成る。このブルージュの歴史地区において、そのどこを切り取ってもまるで美しい絵葉書のようになるのだ。


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   きっと無類の写真好きなら、このブルージュで三日三晩カメラを構え続けても飽きないことだろう。それだけの魅力がこのブルージュの街にはあるのだ。ここまで美しい要素の詰まった街並みはヨーロッパ広しと言えどもそうそうお目にかかれるものではない。


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   マルクト広場付近の路上では、パペットを巧みに操りながら演奏するバスカーがいた。これがなかなか達者な演奏なので、観光客のオヤジたちも大はしゃぎで音楽に調子を合わせて場を盛り上げている。こんなとき日本だと演奏を終えてもチップを入れる者は殆どいないが、ヨーロッパでは演奏の途中であっても素晴らしい演奏をした場合はごく自然にチップを落としていくのだ。そんなスマートな対応を是非とも心掛けたいものである。


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   今回投宿するのは、マルクト広場から1キロほど離れた場所にある「セントクリストファーズ・イン・ホステル」である。ブルージュに流れる運河を渡ると、そこには閑静な住宅街が広がっていた。


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   室内は12ベッドのドミトリーであるが、3つの部屋に4ベッドずつ別れているので実質は4人部屋のようなものだ。ネットで見た時には各ベッドにカーテンの仕切りがあったのでそれを期待していたのだが、どうやらそれは16ベッドのドミトリー限定らしい。些か残念であるが、まあ仕方がない。せめて煩い客が来ないことを祈ろう。


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   宿に荷物を下ろすと身軽になって更に散策に力が入る。もうあちこち歩かないと気が済まないほどに街歩きが楽しいのだ。


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   ブルージュには聖母教会があり、そこにはあのミケランジェロ作の聖母子像が安置されている。教会内は自由に出入りできる範囲は限られており、基本的には6ユーロのチケットを買って内部見学をするのだ。


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   教会深部にあるミケランジェロの聖母子像。ミケランジェロの作品はバチカンにある「ピエタ」で溜息が出るほどの美しさを味わったが、この聖母子像は作品には近寄れず、遠巻きに眺めるしかないので今ひとつその凄さが伝わらなかったのが残念だ。せっかくホンモノが目の前にあるというのにカメラのズーム越しでしか細部を確認できないなんて、いくらなんでもあんまりじゃないか?  あとはポストカードでも買って眺めろというのだろうか。さすがにこれには唖然とせざるを得なかった。


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   ブルージュ滞在でひとつ残念だったのは、滞在中の天気が殆ど曇り後雨であったことだ。初日は晴れ間が差していたが、それでも日が射したかと思うとすぐにまた陰りになってしまって、カメラを構えるのにも些か苦労したものである。


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   鉛色の空の中をカメラ片手に歩いていく。青空であるならばもっと映えた写真になったのにと思うと残念である。


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   修道院の近くにはキレイなチューリップ畑があった。


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   春のヨーロッパにはチューリップがまこと絵になる。通りすがりにこのチューリップ畑を目にした欧米人たちが、みんな足を止めてその咲き誇るチューリップの花々をカメラに収めようと躍起になっている。こうしたチューリップの花弁にヨーロッパの春の訪れを感じるが、もうすぐ5月になろうというのに未だにダウンジャケットが手放せない。快晴であっても、日が陰ると途端に冷え冷えとしてくるのだ。本格的な春の訪れにはまだ少し時間がかかりそうである。


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   そうして街歩きをしていると、家のあちこちにこうした聖母子像が彫り込まれていることに気づいた。アジアではタイやラオスなどは各家々の前に仏を祀る祠を設置するが、ヨーロッパではこうして家の外壁に聖母子像などを設置するのだ。


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   せっかくなのでベルギー旅の記念に何かお土産でも買おうかと思い、通りにある土産物屋でウィンドーショッピングと洒落込んでみる。こちらのお店ではショーウィンドウに様々なカタチをしたチョコレートが並べられ、道ゆく人たちの目を楽しませていた。チョコレートとして食べてしまうには惜しいほどの造形ぶりだ。これは子供や家族向けのお土産として人気がありそうだ。


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   中にはこんなものまでがチョコレートとして立体化されている。ちょ、先っちょから何か出てるッ! 一体誰がこんなものをお土産にするのだろうか?  しかし需要があるからこそ、こうして供給もまたされているのだろうなあ。


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   これなんかはもう言うまでもなくアレですね。オトナのジョークとしては面白いかもしれないが、購入層はかなり限定されてきそうである。それともこうした奇抜なチョコレートがヨーロッパの青少年たちの間で人気を博しているのだろうか。


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   こちらはお上品なネコ婦人のクッションカバー。ウム、こういうのならお土産としては相応しいのだが、いかんせん嵩張りそうだ。デザインは面白いし実用性もあるのだが・・・。土産物で買ってうれしいのは、やはりこうした実用性を兼ねたものである。単に飾って目で楽しむのもいいが、できれば日常生活で使用できるものの方が使っていくうちに更に愛着が湧いてきたりしてなかなか具合がよろしいのである。

   商品を買う買わないは別にしても、こうして土産物屋に並ぶ品々をじっくり品定めしていくのも案外面白いものである。ちょっとした民芸品などを見ては、これは部屋にどんな風に飾ろうかとか、そのお土産が部屋にある風景を想像してみたりするのだ。そうすると意外と魅力的な土産物が多いことにも気づく。実際には背負うバックパックの容量との相談になるのだが、こんな風に悩みながら土産物屋を見て回るのも、なかなかどうして楽しい旅の瞬間なのである。


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   それで結局、何を買ったのかというと・・・この注射器型ボールペンである。もはや民芸品でもなければベルギーと何の関連もないシロモノであるが、このハイセンスな着眼点に敬意を表して1本買ってみる気になったのだ。ちょうどもう1本、ボールペンが欲しかったところでもある。値段は2.5ユーロなのだが、作りが実にちゃちいことを除けばなかなかユニークな遊びゴコロ(?)のある一品だ。


   なぜこれを買う気になったのかというと、それはブリュッセルで見たあのオトナのナースコスチュームの影響があることは言うまでもない。そういえばあのセットにも注射器が付いていたが、あれは一体どんな用途があったのだろうか・・・などと思い巡らせるブルージュの春のよき日なのであった。


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