このブログのネタ用と今度の木曜の特集準備も兼ねて、家にあるジャズ関連本をいろいろ読んでいるが、ルイ・ジョーダンはまあほんとに出てこない。ジャズ本だけではないかもしれない。本屋やネットで調べても、ルイ・ジョーダンのことをがっつりまとめて書いたのってなかなか見つからない。90年代にジョーダン再評価ブームってのがあったらしいので、その時期の古本などを探るしかないか。
さて、今朝本棚から取り出したのが、「JAZZ LEGENDS ダウン・ビート・アンソロジー」という本。日本版で2006年にシンコー・ミュージックから発売された。1930年代~90年代までのアメリカのダウンビート誌に掲載されたインタビューや評論をピックアップしてまとめたもの。最後ページの人名索引に「ルイ・ジョーダン」の名前があった。数ページで取り上げられているらしい。急いで各ページを確認したところ、いずれも、“ソニー・ロリンズやジェームズ・ブラウンが若い頃聴いていた音楽”のような、ほんの一言の言及のみ。例えば人気ジャズ・ビッグ・バンド出身で後のR&Bに繋がっていく音楽をつくったという点でも、ジョーダンとの共通性も多い同い年のライオネル・ハンプトンはそこそこ言及されていたりするのに。
残念ながらお目当てのジョーダンについてはさっぱりだったが、この本そのものは充実している。例えば1955年5月30日号のこの記事。
LP(アルバム)の方が曲を作る上で自由さが増すのかと尋ねると、ビリーは首を横に振った。「例えば“A・トレイン”だけど、ヴィクターの78回転盤に入っていたあの短いヴァージョン、あれこそ僕が最初に書いたまんまだよ。元々はたった3分の曲として生まれたんだ。僕らが今演ってるロング・ヴァージョンは、もっとバンドのプレイにヴァラエティを与えたいっていうデュークの希望から発展してきたんだ」「以前は新しい曲を持ってレコーディングに入ってみると、どれもみんな長い曲ばかりでね。僕らはその素材を3分台にカットして仕立てるんだよ」、ビリーは頭を後ろに反らせて大笑いした。「大抵の場合はカットすることで曲の質が向上するんだ」(「ダウン・ビート・アンソロジー」P130より抜粋)
LP時代に入りSP時代の3分という制約もなくなり、大曲ものなども多いデューク・エリントン音楽はさらに自由度を増したんだよなーと何となく自分なんかは思い込んでいたが、上記のストレイホーン発言はそれをクールにバッサリ否定する。非常に面白い。LP時代以降だけではなく、「78回転盤」時代の古いエリントンもやはりちゃんと聴いておいたほうが良いんだなと思う。エリントンをもっと知るためだけでなく、ジャズをもっと知るためにも。(「78回転盤」時代のエリントンについては以前こちらにもちょっと書いてます)
ビリー・ストレイホーンはこのインタビューの12年後に亡くなる。ストレイホーンの死後しばらくして、デューク・エリントン楽団に(一説にはストレイホーンの後釜アレンジャーとして)加入したのが、ワイルド・ビル・デイビス。彼はルイ・ジョーダン&ヒズ・ティンパニー・ファイヴの全盛期(40年代後半)をアレンジ担当&ピアノとして支えた人物。アメリカの「ジャズ」の歴史、奥深い。(後藤敏章)
