「ルイ・ジョーダンの代表曲って何?」と問われれば、「カレドニア」、「レット・ザ・グッドタイムス・ロール」、「G.I.ジャイヴ」あたりが出てくるかと思うが、一番はやはり「チュー・チュー・チ・ブギ」(1946年)ということになると思う。そして前回のブログでも書いたように「チュー・チュー~」あたりからジョーダンの音楽はぐっと洗練されてくる。名曲・名演奏が量産される。
例えばシングル「チュー・チュー~」のカップリングで収録されている「ザット・チックス・トゥ・ヤング・トゥ・フライ」(1946年)。ジョーダンのなかではそれほど有名ではない曲だと思う。高速のリズムに乗せるジョーダンの巧みな歌、叫ぶアルト・流麗なピアノ・柔らかいトーンでリズミカルなギターと、対照的な各人のソロの音、そして盛り上げるホーン・アレンジなどなど2分30秒弱のあいだに聴きどころ満載の曲。基調としてはジャズ。
このジョーダンのオリジナルなのか不明ではあるが、ジョーダン録音の1か月前にビル・サムエルズというシカゴのミュージシャンが同曲を録音している。こちらはナット・キング・コールのようなカクテル・ブルーズ風。これと比較すると、ジョーダンの音楽のかっちりしたアレンジ、バンドのスピード感、クールな歌いかたなどは当時としてはなかなか独自なものだったのかもと分かるのではないだろうか。
ルイ・ジョーダンを「ロックンロール、R&Bの元祖」みたいな言葉で簡単に括ってしまうことで、見落としてしまうものが多数ある。ジョーダンをちゃんと聴くことで、アメリカのジャズのことがもっと理解できるのでは?ここしばらくジョーダンの音楽にはまりこんでほんとにそう思っている。(後藤敏章)
