有名な台詞がある。たとえば、「君の瞳に乾杯」。
原文は「Cheers! Looking at you, kids.」。
名訳だが、「君の瞳」とは一言も言っていない。
同じくボガードが演じたフィリップ・マーロウつながり、
「長いお別れ」の有名な台詞、マーロウの友人・テリー・レノックスが言う
「ギムレットには早すぎる」も、
原文は「I suppose it's a bit too early for a gimlet," he said.」で、
「まだ、酒を飲む時間じゃない」という意味だが、直訳の方が名訳だ。
このように、日本語訳をすることで実作品の何気ない台詞が、
名言・名台詞になることが非常に多い。
ここ数年、洋画の吹き替えが増えている。字幕がなくなると、
言語と見比べながら台詞を楽しむことができなくなる。
いいことなのか、そうでないのか。ちょっと悩む。