加藤和彦さんが死んだ。
別に知り合いでもないのだが、よく街で見かけるたびに
そのお洒落なライフスタイルに注目し、憧れていた。
クルマはアストンのV8をよく乗っておられた。
スーツはすべてロンドンのFallan & Harvey(写真)で仕立てられていたようだ。
以前、雑誌のインタビューで自宅が写真に写されていて、
背景にFallan & Harveyのバンチ(生地見本)が無造作に置いてあった。
自分も1度ここで仕立てたことがあるが、1回では満足のゆくものはできない。
生地や仕立てには不満はまったくなかったが、
60年代のコンジットカットと呼ばれるシンプルなスーツをイメージしていたため、
出来上がったものと自分の要求がかなり乖離してしまった。
これは、何度かオーダーすれば解決する問題であることはわかっていた。
加藤さんは季節の変わり目など一時に10数着をオーダーしたという。
コストだけで数百万円になるだろう。
いかにも氏ならではの服道楽で、そんな話を伝え聞くと頬が緩んだものだ。
62歳でのSuicide。本当に徹頭徹尾お洒落な人だった。