リア王 | 平岡秀幸 ・ ブログで読む演技論

平岡秀幸 ・ ブログで読む演技論

京都を中心に演劇活動をしています。
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色々発信していきます。

 「リア王」を読み返している。

 

 リア王はやってみたい役ではあるが、大作だ。

 一昨年シャイロックがやりたくて「ヴェニスの商人」を大きく刈り込んで、再構成して上演した。

 同じように刈り込んで上演すれば何とかなるとは思うが、それにしても大作だ。

 かなりの知恵と工夫が要る。

 

 それにあらためて読み直すと、エー?!ということも多い。

 リアの怒り方もいきなり過ぎるし、その度合いも「なんで?」となる。

 娘たちの仕打ちも「なんでそこまで?」となる。

 王家に育った人間の心理は、我々下々のものには理解しかねる。

 

 しかしシェイクスピアの時代も下々のものがグローブ座に足を運んだはずだ。

 リアが癇癪を起して眼をむいて怒れば、観客は大喜びしただろうし。

 娘たちがリアにつらく当たれば、ブーイングしただろう。

 

 観客を引きつけたのは、感情の振幅の大きさと、それを不自然と感じさせないスピード感だろう。

 リアがコーディリアを追いだしてから終焉まで、物語は疾走する。

 しかしストーリーは単純ではない。

 リアの物語に夫婦の不倫、グロスター家のいざこざも描かれる。

 

 これを単純化して切り詰め、少ない俳優で演じる。

 うまくまとまれば、上演に漕ぎつけたい。