「リア王」を読み返している。
リア王はやってみたい役ではあるが、大作だ。
一昨年シャイロックがやりたくて「ヴェニスの商人」を大きく刈り込んで、再構成して上演した。
同じように刈り込んで上演すれば何とかなるとは思うが、それにしても大作だ。
かなりの知恵と工夫が要る。
それにあらためて読み直すと、エー?!ということも多い。
リアの怒り方もいきなり過ぎるし、その度合いも「なんで?」となる。
娘たちの仕打ちも「なんでそこまで?」となる。
王家に育った人間の心理は、我々下々のものには理解しかねる。
しかしシェイクスピアの時代も下々のものがグローブ座に足を運んだはずだ。
リアが癇癪を起して眼をむいて怒れば、観客は大喜びしただろうし。
娘たちがリアにつらく当たれば、ブーイングしただろう。
観客を引きつけたのは、感情の振幅の大きさと、それを不自然と感じさせないスピード感だろう。
リアがコーディリアを追いだしてから終焉まで、物語は疾走する。
しかしストーリーは単純ではない。
リアの物語に夫婦の不倫、グロスター家のいざこざも描かれる。
これを単純化して切り詰め、少ない俳優で演じる。
うまくまとまれば、上演に漕ぎつけたい。