先日(11月23日)、奈良県の大和郡山市に出かけた。
小さなギャラリーでの写真展のアトラクションに出演するためだ。
ギャラリーは「喜多」ギャラリー。
下見に伺ったときにオーナーの方とお話をしたが、偶然共通の知り合いが何人もいて、話が弾んだ。
世間は狭いものである。
出展する写真家は、地元在住の神戸康史氏。
出展作品のほとんどは、パリ在住の画家松谷武判氏の作品或は松谷氏の創作現場を写したものだ。
その写真の前で、神戸さん自身が松谷さんの作品に触発されて書いた詩を読んだ。
詩の朗読の後には、私のオリジナルのパフォーマンスもやらせてもらった。
その後、画家の松谷さんによるパフォーマンスもあった。
松谷さんの作品は黒と白が基調となっており、神戸さんの詩のテーマも「黒と白」だ。
私も黒と白をテーマにパフォーマンスをした。
黒と白をテーマにすることは決めていたが、漠然としたイメージしか湧いてこなかった。
即興で動きながら、白い衣装に黒絵具をぶちまけてやれ・・、ぐらいのことを考えていたのだが、ある時、はっきりとしたイメージが湧いてきた。
きっかけは、不幸なことだが先日のパリでのテロ事件だ。
私自身もショックを受けたが、松谷さんはパリ在住だ。身近な事件として迫ってきた。
とはいっても、遠い国の事件でもある。
私も、私の身内も知り合いも一人も傷ついてはいない。
そんな違和感を身体で表現したかった。
結果は成功だった。
ダンスやパフォーマンスを見慣れた観客なら、あれこれ御託を並べるだろうが、ほとんどの観客は写真家と美術関係者だ。
皆さんに喜んでもらえほっとした。
あまりこういう場でパフォーマンスをすることはないが、驚いたのは写真家の人たちだ。
とにかく写真を撮りまくっている。
パフォーマンスが始まる前に、妻が心配して、写真撮影お断りのアナウンスをしようかと言ったが、まあそういう人たちの集まりだからとアナウンスはやめにした。
すると・・・、一歩登場した時からシャッター音の嵐。
階段に座って詩を読みだすと、顔のそば30センチぐらいに近づいて写真を撮られる。
これには参ったが、まあいい勉強にはなった。
舞台と客席の区別がないということはこういうことなのだ。
松谷さんの知り合いででダンス関係者も来ていたが、パフォーマンスの後は表現や身体のことで話が弾んだ。
松谷さんも喜んでくれていた。
美術でもパフォーマンスという言葉は良く使われる。
この日も、松谷さんのパフォーマンスがあったが、私たちのそれとは趣が違う。
美術のパフォーマンスは、作品の創作過程を見せる。
したがって出来上がったものは作品として残る。
私たちは、パフォーマンスが作品なので、終わればそれっきりだ。
今回は、最後に着ていた白いシャツに、黒い刻印を手で押したが、そのシャツをギャラリーにかけておくとなんとなく絵になっていた。
ちょっと違う世界でのパフォーマンス。
刺激になった。