泥棒猫、切り出す | 泥棒猫の言い分

泥棒猫の言い分

愛した人を略奪しました。

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その話を切り出すのに私が選んだのは、ドライブデートに出かけた日でした。

二人きりで、じっくりと時間を取れます。

幸いにもいいお天気。虎キチは上機嫌です。

 

 

難しい話だから、慎重に話さなくてはいけない。

賢く話さなくては。

 

 

私は切り出しました。

 

「ちょっと、前から思ってたことあんねんか。話したいけどええかなぁ?」

 

「え?なに?」

 

「あのね、これは私が勝手に思ったことで、私の勝手な見解やから、ホンマかどうかはわからへん。

その話を聞いて虎キチくん、もしかしたら気分悪いかもしれんけど、そのときは忘れてほしい。

先に言うとくわ。傷ついたらゴメンやで!」

 

「なんなの?こわいなあ」

 

虎キチは、苦笑しつつも話を促しました。

私は心の中で小さく祈ってから始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虎キチくん、

あなたはモラ美さんとの離婚に、とても多くの条件を折り合ったよね。

そのほとんどが次郎くんのこと。

次郎くんのため、次郎くんが傷ついたり悲しんだりしないため、そうだったよね。

理由は、次郎くんがとても感受性が強くて優しい繊細な子だから。

 

 

 

でも、私はそれは本当なのかな?って思ってるよ。

 

 

 

あなたは、太郎くんの話はよくする。すごく具体的に話す。

だから、あなたの話から、太郎くんが優しくて、あなたは太郎くんが大好きなんだってわかる。

 

 

けどね、

次郎くんの話は、テンプレだよね。

 

「次郎は感受性が強いから」

「次郎は優しいから」

「次郎は繊細だから」

 

その裏付けになる話って、実を言うと私、あなたの口から聞いたことない。

 

 

いや、むしろ逆。

 

 

次郎が学校で暴力を振るってまた学校から呼び出された。

次郎がいきなり虎キチくんに殴りかかってきた。

次郎が飼ってるハムスターをいじめた。

次郎はおやつは独り占めして、他人に分けるってことをしない。

 

 

 

 

そんなのばっかり。

 

 

 

 

 

気づいてたかな?