映画 ブレット・トレイン | 沈みかけ泥舟のメモ

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今はネタバレなしの映画感想ブログ化してます。

伊坂幸太郎さんの小説「マリアビートル」を原案とした映画「ブレット・トレイン」を鑑賞してきました。

 

とても面白かった。

 

監督はいくつものアクション映画で結果を出している方なので

アクションシーンについては何の心配もしてなかったのですが、

伊坂幸太郎さんが描く「殺し屋」達のキャラクターの「良さ」が

どう描かれるのかはちょっと心配していました。

 

最近騒がれがちな「ホワイトウォッシュ」批判なんかもあったようですが

米国公開の映画として色んな人種のキャラクターに移し替えることは

作品世界にのめり込むためには必要なことだったと思いますし、

原作では全員日本人で日本国内の話だったものを

メキシコや米国、ロシアなど色んな出自のキャラクターとしたことで

「架空日本」感が増して海外映画でありがちな

「おかしな日本表現」も返ってすんなり受け入れられる効果を果たしていたように思います。

 

これが「日本人キャラクターの小説なんだから、映画も全員アジア人で」なんてやってたら

「おかしな日本表現」が一層浮き上がって作品を楽しめなかったかもしれません。

 

主人公に抜擢された「天道虫(レディバグ)」を始めとしたキャラクター達も

脚本家や監督の味付けがよくて伊坂幸太郎さんが描いた「殺し屋」達とはまたひと味違う

それぞれに魅力あふれるキャラクターになっていたのも良かったです。

 

正直いってレディバグ、レモンとタンジェリンの三人をあんな風に描けただけで

この映画は成功したといっていいんじゃないかなと思いました。

 

原作ではサイコパス感が強く、胸くそ悪いというしかない「王子」も

この映画では女の子に改変され行動原理も変わったことで

「マリアビートル」よりも不快なシーンはなくなっているように思います。

 

あの最悪な「王子」に鉄槌が下される爽快感が薄くなることを残念に思う人はいるとは思いますけど。

 

色んな改変が行われつつも原作のエピソードに沿った展開も多く

原作ファンも「全て同じじゃないと許せない」みたいな偏狭な人でもない限り楽しめると思います。

 

ラストは原作とは違ってハリウッドらしいド派手な展開に変わってますし

原作を読んでいても

「ブレット・トレイン」は別作品として楽しめるとも思います。

 

日本の作品が米国で映画化、リメイク、なんていうことはこれまでにもたくさんありますが

この「ブレット・トレイン」の出来はその中ではトップクラスじゃないでしょうか。

 

「七人の侍」をリメイクした「荒野の七人」みたいな大幅な改変を除くなら

ベスト3に入ってもいいんじゃないかなと思うくらい

「マリアビートル」をベースに面白い映画にしてくれたなと思います。

 

本国、米国での評価は知りませんが日本では伊坂幸太郎さんの「マリアビートル」を読んだ人も

まだ読んだことがない人も関係なく面白く観られる映画だと思います。

 

米国のジョークは日本人には合わなくて、笑わせるシーンが笑えないなんてこともありますが

この映画では笑いを狙っているシーンはちゃんと笑える出来だと思いますしオススメしたいです。