JA解体で日本にやってくる飢餓の季節? | 沈みかけ泥舟のメモ

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2104年の末に起こった出来事ですけれど、
ロシアが穀物の輸出を停止するという事がありました。

トルコやイラン、エジプトなどのロシアから小麦を輸入している国々に
小麦の調達不安が駆け巡りました。
ロシア国内での小麦供給を確保するための措置だったと言われています。
農作物を輸出する国は数々ありますが、
それは国内での消費分が十分に確保されて余剰があるからです。
もし、気候変動や土壌汚染などにより作物の供給に不安が出てくれば
国際条約の不履行になってしまったとしても自国を優先するのは当然です。

農作物を輸入に頼るのは
国民の命を他国政府に預ける事にもなりかねないという事を忘れてはいけません。

さて。

そんな現実を前提に安倍晋三自民党政権が目指しているJA(農協)の改革です。

戦後レジームの脱却と歴史修正主義をベースとしつつも
今は経済活性化に重点をおいている安倍内閣は
農業についてもTPPを念頭に「付加価値のある作物」の生産や
「大企業の農業新規参入」を目指しています。

そのための「障害」とにらまれているのがJAです。
昔々、小泉純一郎さんが郵政省やそれを守る政治家、官僚を「抵抗勢力」と呼び
人気を集め目的を達成しました。

安倍晋三さんはJAを「抵抗勢力」と位置づけて
JAの解体を目指しているのではないかと思えます。

確かに、JAも歴史の古い組織ですから現在に合わない部分もあるでしょう。
けれど、古いから壊すという革命家のような発想がはたして正しいのでしょうか。

まず、日本の農作物を海外に販売するという考え方ですが
アメリカと日本では農地の面積が30倍以上の違いがあります。
農地をまとめて大規模化するという事を安倍政権は口にしていますが
日本の農地をすべてまとめるなんていう不可能な事をしたところで
規模ではアメリカに太刀打ちできません。
大規模農業で価格勝負というのはやる前から負けが決まっています。

それならば、高く売れる農作物を生産するという道を選ぶのでしょうか。
高くても日本製の作物を買う、などという物は
必需品ではなくて嗜好品作物という事になりそうです。
今はどうなっているかわかりませんが、
その昔、アフリカの飢餓で苦しんでいる国々というのは
農地は国民全体が食料を得られるだけ持っていました。
しかし、日本や欧米から借金をして国を繁栄させるという政策をとっていたので
アフリカ諸国では農地をコーヒーやチョコレートのような
先進国で売れる「お金になる作物」を作る事になり
自国民の食料が不足するという事態になっていたといいます。
もし、日本が営利企業の農業新規参入を推進して
「売れる作物」「高価な作物」中心の農業が進んだらどうなるでしょうか。
日本人が食べる方の農作物は安く輸入すれば良いという発想は
先ほど書いたロシアの例を見ればわかる通り危険です。
日本人全体に飢餓がおとずれる、という可能性は低いかもしれませんが
自分たちの国で自分たちの食料を作れるなら
そちらを優先すべきではないでしょうか。

「価値のある作物重視」「営利企業による農業への新規参入」が
バラ色の未来をもたらすかどうかはわかりません。

安倍晋三内閣が敵視している農協、JAですが
この組織は日本の農家が多くは小規模であり
その小規模農家の力を集めて影響力を持とう、という考えで始まってます。
いわゆる互助組織です。

小規模な個人農家が多い日本の農業や酪農は
その多くが赤字を抱えた自転車操業です。
そんな彼らの生活を支えているのがJAです。
赤字でもなぜ農業や酪農を続けているのか聞くと
「自分たちが日本の食を支えているんだから」という
誇り高い答えが返ってきます。
儲からなくても、生活は苦しくても日本の食卓を支えたい。
そういう気持ちに支えられているという事実を安倍晋三自民党は理解しているのでしょうか。
赤字でも日本人の食事を作るという農家を整理・統合して農業の大型化・効率化をはかり
儲けを重要視する企業を参入させた時
日本の食卓はどうなっていくのでしょうか。

もちろん、JAには確実に問題が潜んでいます。
中国共産党が官僚腐敗一掃に苦労しているように
歴史のある組織は癒着、利権などに凝り固まり
新しい事を始めようとしている農家の障害になったりしてます。
個人農家の新しい試みを妨害してしまうような
農協の問題がある体質は改める必要があります。

けれど、それはJAを解体するという乱暴な方法ではなく
参加する農家と所管する省庁、JAとの話し合いで
組織をより柔軟に改正、作新していくべきではないでしょうか。

JAに限りません。

イジメ問題でやり玉にあげられる教育委員会の改革にしても
地方自治体や漁業、林業にせよ、大学の自治にせよ
安倍晋三自民党政権は中央集権化をすすめて
官僚の命令一下で動く日本を作りたいようですが、
それぞれの組織には生まれた理由と果たしている役割、
今も続いている意味が必ずあります。
変えるべきところ、残すべきところをしっかり見極めていただきたいです。

保守的な私としては安倍晋三さんのような
革命的な物事の進め方や設計主義的な考え方は
拙速に見えてしまいます。