石原慎太郎さんと水木しげるさん | 沈みかけ泥舟のメモ

沈みかけ泥舟のメモ

訪問していただき、ありがとうございます。

内容が定まらない更新少なめ不定期なメモ。

今はネタバレなしの映画感想ブログ化してます。

前にも書きましたが、私は
「人間は歴史からは学べず、体験からだけ学ぶ」
と考えています。

だからこそ、戦争のような大規模で長期に渡る出来事は
一人一人体験した「事実」が違いますから
そこから導き出される答えも違ってしまいます。

石原慎太郎さんは大東亜戦争や太平洋戦争と呼ばれる戦争時には
わずか十代の子どもでしかありませんでした。
戦場になんて出てはいかず、本土で暮らしてたはずです。
大日本帝国は正義のために戦っていると学び、
敗戦濃厚な時期には米軍の爆撃機や機銃掃射により
一方的に苦しめられた「被害者」であり、
戦後には「鬼畜米英」と言っていた大人たちの態度の豹変や
惨めな暮らしを目の当たりにしたわけです。
多感な少年時代をそんな環境で生きていれば
「敗戦で押しつけられた憲法が日本をダメにした」などと
敗戦後の日本を否定したくなるのは当然でしょう。
哀れな方です。

同じ戦時中を生きた水木しげるさんは
すでに大人でありラバウルという生きては帰って来れないと言われた
南の島の激戦区で戦地に派遣されました。
上官には何かと殴りつけられ、仲間は目の前で戦死。
自分は片腕を失う大怪我を負い、
大日本帝国からは「玉砕命令=死ね」と言われる始末。
何とか生きて帰ると生還を喜ばれるどころか
玉砕命令の通り死ななかったことを責められてしまいます。
虚無的になり、戦争は腹が減るばかりで意味がない、と
考えるようになるのは当然でしょう。
悲惨な体験です。

他にも「南京」への進軍は複数のルートから行われ
あるルートの日本軍は規律が厳しく
途中の民家には目もくれず「南京攻略」に向かい、
別のルートの日本軍は途中で略奪や強姦、殺戮を行いました。
所属した部隊によって「南京事件」と呼ばれている
虐殺行為があったかなかったかは違っているわけです。
「慰安婦問題」についても同様でしょう。

私たちは個人が体験した情報の一部しか知ることが出来ず
そこから「戦争」の全体を推測することしか出来ません。

「神風特攻隊」が実は不時着した機体が多いことなど
事実がわかっていながら広められていない情報もあります。

人間は歴史から学ぶことは出来ませんが
複数の体験を出来るだけ多く集め
フィルターを通さず平等に扱えば
個人の体験だけでは見えないことにも多少は近づけるかもしれません。

憲法改正の議論も日本と中国や朝鮮半島の状況だけを見て
脊髄反射みたいに考えてしまっては
大事なことを見落としそうな気がします。

泥舟、ヒドいことをした人は語りたがらず、自慢したい人が語るから戦争の事実は霞むばかり。