どうしても書きたかったので直接的にはサッカーでも日能研でも無い話題を。

4月から始まったアニメ「響け!ユーフォニアム3」がいよいよクライマックスを迎えようとしています。以前書いたように、私は、学生時代吹奏楽をやっていた妻からの勧めで、第1期から見続けています。以下ネタバレを多く含みますのでご注意下さい。

 

 

 

 

このアニメの直近回(第12回)で大きな出来事がありました。全国大会でのユーフォニアムのソリストを決める部内オーディション。主人公である部長と、3年生から入部した転校生の2人がソリストの座を争い、顧問による選考では甲乙つけがたく決まらず、最後は部員全員の前で、この2人がブラインドの裏で順番に演奏の上で部員が、どちらか奏者だったかわからない状況で、音だけで良かった方に投票で決定する展開に。部員の投票も割れて同数、ただ、未投票であった主人公の親友(トランペットのソリストで、ドラムメジャー)が最後の最後に転校生の方に投票し、転校生が選ばれるという展開でした。

 

府大会では主人公の部長、関西大会では転校生が教師による選考でソリストに選ばれ、関西大会の前は、3年間部のために貢献した部長ではなく転校生が選ばれたことで、部内で混乱や異論、さざ波が立つようなことがありました。それを部長が関西大会コンクール前に演説し、この主人公の学校は実力主義であり、全国大会で金を獲得するためには必要なんだという思いの丈を演説し、部内が1つに纏まり見事全国大会出場を決めました。

 

それで、最後に全国大会前に再度の部内オーディションがあり、前述のとおり、部内の投票でも割れに割れたものの、最後は主人公の親友の1票で転校生に決まりました。決まった直後、主人公の部長から、これがこの学校(北宇治)の実力主義であり、これがベストメンバーだと演説し、部は1つに纏まりました。なお、終わった後、主人公の部長と、最後の投票者であった親友が2人で会い、親友は、音でどちらの奏者が主人公だったかわかっていて、ただ、音楽に嘘はつけないので自分で良いと思った方に正直に投票したと説明。主人公もそれを理解していて、2人で号泣するという展開でした。簡潔に纏めると上記の通りです。

 

この展開に素直に私は感動し、見ながら泣いていました。

1番目に感じたことは、素直に主人公がソリストを取れなかったことに残念という感情移入です。第1期から主人公の苦楽や葛藤、成長を見続けていて、高校最後の全国大会でソリストを吹かせてあげたい、全国の晴れ舞台でソリを吹く姿を見たいという思いがあり、それが取れなかったことに対して素直に残念と感じました。なぜハッピーエンドにならないのか、現実(アニメですが)は厳しいと思いました。

 

2番目に感じたことは、顧問も主人公も親友も実力主義を徹底していることへの素晴らしさです。この部の目標は全国大会で金賞であり、全国大会で最高の音を出すことを目標にやってきました。コンクール受けする編成にするために、特定の楽器の数を減らすこととなり、その結果、実力者がコンクールメンバーから外れるようなこともありました。

 

ユーフォニアムのソリストについても然りで、3年間部のために貢献してきた部長と、3年生から入部した転校生のどちらを選ぶかという点で、ここは実力主義を通しました。顧問側に、差が無いなら貢献が大きい部長を選ぶという発想はなく、府大会と関西大会では、その編成でのベストメンバーを選ぶということでソリストが分かれました。そして、最後の全国大会では、顧問からしても実力差は無く絞りきれない、観点を変えると、主人公と転校生のどちらが選ばれても全国大会金は取れるだろうという判断の下、部員たちの納得感のために、最後は部員たちに選ばせるということをしました。

 

そして、最後の1票を持った主人公の親友は、音をきいて、主人公と転校生のどちらが奏者だったかわかったものの、純粋に音で転校生に1票を入れました。親友だからということで主人公の肩を持つことなく。(他の部員達の投票でも、部長と転校生のどちらか奏者かわかったた上で、本心に反してあえて投票しているような者はいました)

 

この顧問・主人公・親友の3人が、それぞれの葛藤を抱え、それが描かれる中、実力主義を貫いた姿勢をみてとにかく感動しました。

 

私は長男のサッカーチームのコーチをしていますが、頑張っているけど実力が届いていない又は武器が無いような子も見ています。勝ちに行くべき公式戦では、勝ちにこだわった起用をしていますが、現実の場面で自分がこのような場面に直面した場合に、ここまで実力主義を貫けるのだろうか、ずっと頑張っている子の肩を持ちたいという思いが全く無いと言ったら嘘になります。

 

「響け!ユーフォニアム」の世界では顧問・主人公・親友は、葛藤しながらも真剣に実力主義に向き合い、それを徹底し、その決断の結果に、苦悶して泣く。本当に真剣に向きあった結果に素直に感動しました。

 

自分はここまでできるのか、すべきなのか、このアニメをみて率直に感じ、自然に涙が溢れてきました。