3年少し前に、私が長男のジュニアチームでコーチをしていた時の出来事を振り返ります。
ちょうど3年生から4年生に進級する春休みから4月のタイミングで、長男のチームに入団を検討する選手がいました。便宜上、X君とします。
X君は生まれは都内ですが、お父様の仕事の都合で幼稚園に入る前に、とある地方の県に転居し、そこで地元のサッカークラブに所属していました。X君はかなりの実力者で、3年生ながらそのクラブの6年生のチームに帯同し、試合にも出ていたようです。その地元のクラブは、過去に全日本で全国大会に出場した実績もあるチームです。
X君がお父様の仕事の都合で都内に戻ってきてサッカークラブを探す中で、長男のチームへの入団を検討するために何度かこの学年の活動に見学に来ていました。確かにX君は技術とスピードがあり、長男のチームに入ってもこの学年で即レギュラーは確実だろうな、というレベルでした。
毎回練習に付き添いできていたY君のお母様に聞くと、「3~4チームを比較してどこに入るか考えています」とのこと。他のチーム名聞くと、X君の居住地から通い易く、かつ実績を残しているチームに絞っていて、お母様曰く「夫が調べて選んでいます」とのこと。お母様に聞くと、長男のチームが元々転居前に入っていたチームと似ていて、指導者や同級生・保護者の雰囲気が良く、通い易いし、X君自身も気に入っているので最有力と思っているとのことでしたが、「最後は夫が決めるので何ともいえないです」というコメントでした。
それでX君のお父様が練習試合の付き添いに来た時に話をしましたが、「ここまでしてくれて良いチームだと思っています」「ただ、Xの今後を考えると、このチームで上を目指せるのかなと思うところがあります」「上手い子も何人かいますが、実際、選手のレベルにバラつきがありますよね」と言われました。やんわりと反論もしながらも、まあここまで言われるならもう他のチームに決めたのだろうなと思っていると、その日の夜にお母様からLINEがあり「Yチームに決めました。これまで有難うございました。」とのことでした。
X君のお母様が翌週の練習会場に貸与していたユニフォーム等の返却に来ました。その際に話を聞きましたが、お母様としては長男のチームを推していて、X君自身も長男のチームが良いと言っていたようですが、最終的にお父様の強い意見でYチームに決めたようです。お母様からは丁重にお詫びとお礼を言われ、私からはX君の活躍を祈っていると伝えました。
ただ、Yチームを選んで本当に良かったのかなと心の中ではずっと疑問に感じていました。Yチームは確かにコンスタントに中央大会に出場していて、Tリーグに参加しているチームですが、指導法がスパルタの振り落とし式のチームという評判でした。練習前後に走らせて、ミスすると罰走があり、体のサイズ・フィジカル重視のため日常生活の食事にもルールがあり、頻繁に行われる合宿ではとにかく食べることを求められ、残しても時間かけて最後まで食べることを求められる、そんな評判のチームでした。実際、学年によっては大量の移籍者が出てしまい単独での活動が困難となったりしています。とはいえ長男のチームとは近くて、長男のチームから移籍したり、逆にYチームから移籍で入って来るような形なので、Yチームに関する情報は入って来る関係にあります。
その後、X君のことは気にせずに過ごしていましたが、4年生の終わりにYチーム出身者の保護者から話を聞くと「X君は辞めて移籍したようです。やはりYチームの指導法に合わなかったみたいです。」とのことでした。それで、5年生に進級する直前に隣のブロックでTリーグに参加しているZチームに移籍したようです。
そして長男が6年生となった後、Tリーグのリーグ戦の会場でZチームと会場・時間帯が重なり、気になってZチームを見たところ、X君やお母様が会場にいました。向こうも覚えていてくれてタイミングみて挨拶にいくと「その後色々あってZチームにいます。会場同じなので、もしかしたら会えるかな~と思っていましたが、お会いできてうれしいです。あの時は本当に有難うございました。」と深々とお礼を言われました。そして、全日本の中央大会会場でもZチームと一緒になり、改めてX君とお母様にお会いできました。「あのまま(長男のチームに)入っていれば一緒に戦えましたね」とのこと。いずれもお父様は仕事の都合で来られていませんでした。
そしてそしてX君は、今は私の教え子と同じジュニアユースに所属しています。セレクション受けてそのまま内定もらったようです。教え子の保護者には「●●コーチ(注:私のこと)にお会いする機会あればよろしくお伝えください。ずっと気にかけてもらい感謝してます。」との伝達事項があったようです。
少し嬉しくなる一方、X君があの時長男のチームに入ってくれたならばもっと違う展開があったのにな・・と思うところがあります。きっとYチームで過ごした4年生年代での1年間を棒に振ってしまったのだろうと。あれだけ才能のあった選手ですが、4年生年代の間にある各種トレセンのセレクションも、Zチームではチームの方針に合う選手でないと受けさせてもらえないと聞きます。X君は、少なくともブロックトレセンには軽く入れる実力もあったかと思いますが、ジークカップ・トーマスカップでの活動は見られず、トレセンの機会を逃してしまったのだろうなと思います。残念です。
まだまだサッカー人生これからですし、X君の実力なら高いレベルを目指せると思います。X君含め飛躍して欲しい。薄い縁でも関わることができた方々を出来る限りサポートしたい。そんな思いです。