その友達は言っていたのです。
「「ラーメン二郎」って食べたことないんだよね。食べてみたい」
それに対し、相方が言ったのです。
「二郎作ってみたいと思ってたんだ。じゃあ「家二郎」やるか」
そして相方は前日からぐつぐつとスープを煮始めました。それはさながら「ヘンデルとグレーテル」で出てくる魔女のように凶悪な姿だったのです。
「ラーメン二郎」、それはもはやラーメンではなく「二郎という食べ物」と呼ばれる恐怖の存在。
私は若いころ一度挑戦してもう二度と戦わないと決めた、そんな存在。
そんなものがよりによって我が家に登場したのでした。
どーん。
ヒイイイイイイ。この背脂とニンニク・・・・・!!!
男どもはうれしそうに箸をつっこみます。
「おお、旨い!へえこれが二郎かー!」
「おお、すげー再現率だな!」
3分の1がなくなり、半分に差し掛かったあたりで、
「これは思ったよりクるな・・・」
「さすが二郎だ・・・・」
額に光るアブラ汗。はぁはぁと聞こえてくる息遣い。そしていよいよ完食。
「・・・・う、動けない・・・きつ・・・・」
「み、水・・・・喉がすげー乾く・・・・」
立派な屍が2体出来上がっておりました。
その間、私はこちらを食べてました。
「二郎マイナス(背脂+ニンニク+化学調味料+もやしマシマシ過ぎ)=美味しいあっさり豚骨醤油ラーメン」
うまー。
めっさうまー。
二郎を作る前に私のは別に作っておいてもらったのでした。
ごちそうさま。
「親の敵のように乗せた野菜、大量の化学調味料による舌のしびれ、口の中にいつまでもへばりつく後味、けっして潤うことのない食後の喉の乾き、 全てにおいて再現できた・・・!」と相方。
ゲフゲフ言いながら苦しむ男二人。
それでもなんだか幸せそうに見えたのは、やっぱり二郎の魔力なのかもしれません。
おまけ。