ジェレスタ78「 波 乱 の 文 化 祭 ! ? 」

※長さの都合上、タイトルと話の内容が一部異なります。


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【文化祭まであと10日!】




『ぶんかさい…とは私の時代で言う一年に一度の神祭りのようなものでしょうか?』
「全然違うぜ!文化祭ってのは学校行事で、見せ物とかお店とか出すんだぜ」
『要するにお祭りなんですね』
「あ…はは…まぁ、そういうことだぜ…」

文化祭が近づいてきた。
5年前からハートランド学園の文化祭は何度か言ったことがあるからなんかやることが分かる。
ハートランド学園の文化祭はクラスの出し物、部活の出し物、体育館での発表がある。それで、俺のクラスの出し物はお化け屋敷、陸上部はなし、だから正直やることがない。

「なんか面白いことないかなぁ~」
『あら、ご主人、あそこに…』

タスキが指さすのは掲示板の前。何故か唸ってるアミの姿が…。

「アミー、なにしてんだー?」

「遊矢!ねえ、コレ見て!」
「ん?」

【文化祭演劇募集!】
【定員:6人以上15人以下/ジャンル:なんでも/持ち時間:30分から1時間】
【演劇部とそれ以外の演劇をやります!部活動やクラスなどの方々でも構いません。これを見てやりたいと思った方は生徒会まで!】

『演劇ですか…』
「なんだよアミ、やりたいのか?」
「べ…別にそういうわけじゃないわよ、クラスも部活も割り当てないからやっても良いかなってだけよ」
「要はやりたいんだよな…」
「…まぁそういうことなのかな」

アミがやりたいっていうなら、まぁ協力くらいはしてあげようかな。俺もちょっとワクワクしてきたし…!

「よしやろう!やろうぜ演劇!」
「ホントに!?」
「あぁ!」

そうと決まれば早速生徒会室に行かなきゃだぜ!!
人数はなんとかなるぜ!……多分。


~~~


「なるほど、代表者は一年の風雅遊矢くんですね」

生徒会長の響明歩莉さん。三年で、ハートランド学園の歴代生徒会長では一番優しくて生徒が好きらしい。

「人数の予定は?」
「一応…舞台に立つのは6人くらいです」
「じゃあ裏方がいるのね。…確認なんだけど、あなたたちは一年だからメンバーには一人以上、上級生が必要なのよ」
「「ええっ!?」」
「あら…初耳だった?申し訳ないけど、ルールなの。ごめんなさいね」
「いや…多分なんとかなります!なんとかします!」
「そう、じゃあ期待してるわ。あなたたちで演劇枠は決定よ、メンバーが決まったらプリントを提出してください」
「「はい!!」」

やる気出てきたぜ!!
頑張るしかないっしょ!後10日でなんとかしないとな!


~~~


「確か、当日は慶太くんと狩也くんがクラスの割り当てに入ってる。敏也くんは吹奏楽の発表なんだよね…托美さんも部活とクラスの行き来で忙しいみたいだし」
「大丈夫!まず一人は決まってっから!」
「誰?」

条件に引っ掛かるヤツは多分4人いるぜ。
まずはあの二人からだぜ!

「二人ともなにをしてるの?」
「遊矢くーん!アミちゃーん!」

「…あ、そうゆーことね」
「そ!そーゆうことな!」

「「?」」

大河と雪那に事情を話してメンバーに入れるか聞いてみる。
雪那はわかんねえけど少なくとも大河は協力してくれると思う、まぁいざ大河もダメになればなんとかするけど。

「なるほどー演劇かぁ…」
「僕はやるー!」
「私も協力するわ、楽しそうだし、遊矢くんがいるから」

「ありがとう!二人とも!」
「んじゃあ後二人かぁ」
『しかも一人は上級生ですよね、当てはあるんですか?』

まぁ………あるにはあるよな、その前にまずは一年で固めたいと言うかなぁ……。

「遊矢くん、キャストはともかく、どういうことするのか考えてる?」
「うーん……それがまだ…」
「そ、そうだと思ったわ……」
「でも決めないとダメだよー、10日しかないんだもん」
「お、おう」

「フッフッフッ!皆さんお困りですね…!」

「ん?」

みんな揃って振り向くと段ボール抱えて眼鏡をカッコつけてかけ直す袢太。
…!ということは!

「協力してくれんのか!?」
「もちろんです!生徒会長とのお話は聞いたからね」
「サンキューだぜ袢太~~~!!!」

「にしても、この箱は~?」
「詳しい話は演劇者用の教室でしようよ」
「そうだな!……と、言いたいけど、先に行っててくれよ!」
「なによ、…まさか最後のメンバーって…!」
「そのまさかだぜ!」

みんなの言いたいまさかはまさにその通りだぜ。
行くべき場所は、屋上の隠れ場だ!


~~~


「ヒーカールっ!」
「うわぁっ!!」
「そんなに驚かなくて良いじゃん、疚しいことしてんのか?」
「むしろ疚しいことから逃げてる途中なんだがな…」

一体なにされたんだよ……一年の時とか一年の時とか一年の時とか。

「で、何の用だ?」
「あーのさぁ、文化祭の演劇…実は上級生が必要みたいでさ、托美がムリっぽいからヒカルに頼みたいんだ!」
「……………」

スルーされた!?堂々とコンポタ飲もうとしやがって!!当て付けか!?メンバー探しで奔走して腹減った俺への当て付けかよ!?

「って、あり?」
「飲むか?」
「さ、サンキューだぜ」
「……別に構わないけど」
「え…?」
「むしろそれのおかげで適当に理由つけてクラスから逃げられるしな」

本当に一年の時になにがあったんだ、ヒカルには…。

「やってくれるのか?!ホントにか!」
「お、おう………」
「ありがとなー!!!」

これでメンバーは集まった!!ヒカルにはなにがあったかなにも聞かないでおくけど…。
まさに盛り上がってきたぜ~~~!!

『面白くなってきましたね』


~~~


『文化祭?なんですか、それは』

『この学園の祭りらしい。それで、風雅遊矢たちはエンゲキというものをやるそうだ』
『ほう…演劇ですか。……ふっ』
『なんか思い付いたのか、ポセイラ』
『ええ、面白いことに』
『内容によっては、協力してやるぜ』
『……良いでしょう』

 
~~~


「なに?これ」
「脚本だよ、選んで決めたんだ」

ヒカル連れてきたら段ボールの中身が出されてた。しかも色々あるみたいだ。
アミが見てるのはその中のひとつ、冊子みたいな本読んでた。

「なにしてんだー」

「じゃーん!脚本の原稿!」

「演劇のか」
「ヒカル先輩、参加するんですか?」
「クラスの連中に女装強いられるくらいならこっちの方がマシだ!」

ああー……そういうことだったのかー。

「大変なんだな~」
「切ればいいんじゃないですか?髪とか」
「ダメだよ大河くん!そんなこと言ったら!」
「すいません……」
「…、別に気にするな」

なんか事情があってなんだろうな……、しょうがねえっちゃあしょうがねえよな。

「それじゃあメンバーも集まりましたから!流れの説明から始めましょう!」

段ボールから紙芝居が出てきて、捲りながら説明を始めた。

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昔々、あるところにとても平和な王国がありました。

王女アテナは平和を好み、戦時には自身も武器を取り戦い国を守ったそうです。

そんな王国で暮らす霊使いのダルク・エリア・ライナ。ダルクは王国より少し離れた古びた城に肝試しをしに行こうと言いました。
そこはドラゴンが住む城でとっても危険だったんです。
ライナは当然反対して行きませんでしたが、ダルクとエリアはその日の夜に肝試しに出掛けました。

ところが、城の最新部にいた右目に傷がある真紅眼の黒竜によってダルクとエリアは牢屋に閉じ込められてしまいました。

真紅眼は「王女と決闘し、勝利したら返してやる」とエリアに言ってエリアを王国に返しました。

それを聞いた王女は城で真紅眼と決闘し、勝利。無事にダルクを助けて見せましたとさ。

===

「簡単な話はこんな感じだよ」

……うん!おもしれぇ!!

「微妙に感じる…」
「俺もだ」
「普通は王女様を王子様が助けるはずよね」
「ドラゴンかっこいー!!」

雪那の言う通りだし、大河はまぁどうでもいいけどさ、まぁなんとかなるさ!きっとな!

「衣装作りやセットは?」

「背景作るのは任せてくれよ!」

「慶太!」
「なんとかするさ!狩也たちとも話し合ってな!」
「衣装は私たちが作ったり、ドロワ先生に頼もうよ!」
「そうだな!」
『正直な話、背景は私が術で動かしますからね』

とりあえずタスキは考えてることがすごすぎだろ……!
これでそっちの話は完璧だぜ!!あとはきゃすたーばっぐだっけ?

「それじゃあキャスティング発表しますね!まず、ナレーションは僕、ドラゴンは大河くん」
「やったぁ!頑張るぞー!」
「ダルクは遊矢くん、エリアは雪那さん、ライナはアミさん」
「………?あれ…?」
「そして!主役のアテナ王女は朽祈先輩です!」

「…………」
「「「えええええっ!??」」」
「待て貴様!それはおかしくないか…?」

確かにおかしい。女子は二人もいるし、ライナとかエリアも別に変えればって思う。

「だって、残念ながら、アミさんと雪那さんは凛々しさより可愛さなんです。だから、です」

「…………」
「まぁ…良いんじゃないかな、クラスの女子に好き放題されるか、最初から決まってるかで考えればさ」
「………もう、どうにでもなれ……」

「よしっ!!じゃあ練習は明日からで、お願いします!」

まあなんとかなるっしょ!…多分だけどさ、いや、ホントに多分。

「ねえ遊矢!」
「ん?どうした?」
「衣装作りなんだけど、小鳥さんに頼めない?」
「あー、縫い物ならできんじゃねえかな。あと、リンさんとかさ、どーせ仕事ないから読書してるんだろーしさ」
「そ…そうね…。あとひっそり帰ろうとしてるヒカル先輩?」

「…!」

「衣装作りくらいは、手伝ってくださいね!」

「な、何故…いや、できないわけじゃ…ないが……」
「カイトさんに言っちゃうぜー?」
「…!!遊矢っ、お前…!」

知らなかったわけじゃないんだぜ?会うたびにお互い睨み合いだもんなー。

「ヒカルにできないことないよなっ!なっ!」
「うっ…、分かった……」
「よしっ…!!」

小さい声で、更にガッツポーズを取ったところでヒカルから張り手が飛んだ。

「それじゃあ、とりあえずアテナの服、お願いしますね!」
「分かった…、カードは?」
「確か袢太くんから預かったのがーー、はい!」
「サンキュー」

「いだいぃぃ……」
『大丈夫ですか?』
「大丈夫じゃねえよぉ…」

頼むから少しは容赦してくれ……。


~~~


「は?演劇の衣装作り?」
《そうなんですよ!!お願いします!》
「だが、俺は忙しいし…苦手ではないが…」

「あら、どうしたの?」

「ミナトさん、」
「あらあら、テレビ電話ね。久しぶり、遊矢くん」
《久しぶりです!いやぁ~演劇の衣装作りをリンさんに頼みたくて~》
「あら、リンは忙しいから、私と須和で手伝うわよ?」
《ホントですか!?》
「ええ、須和には連絡しておくから、任せてちょうだい」

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「ありがとうございます!」
《お礼なんていいのよ?ちょっと暇だったから》
「それじゃあ、ーーえっと、お願いします!」
《了解よ、それじゃあね》

通話を切る。やっぱりこういう家庭的なことはミナトさんの方がいいかも。
いや、でも忙しいってどういうことなんだろう。まだ後処理が済んでないとかかな。

「遊矢~?」
「小鳥姉さん、あっそうそう!小鳥姉さんにも頼みたくて!」
「ごめーん!私も文化祭準備忙しいから無理なの!」
「ま…マジかよ…」
「でもワクワクするー!絶対行くからね!」
「…来なくていいから」

いや、結構切実に、そう思う。


~~~


「……………っ!…いてー…」

久々すぎて手元狂いすぎだろ…前に裁縫やったのいつだ?……、確かヒカリに誕生日プレゼントあげたときか…しかも、二年くらい前…。

「………、ダメだ…」

さすがに手が痛い。…今日は諦めるか…。

「なにしてるの?お兄ちゃん」

「あ…いや、その…」
「…あっ!文化祭のだよね!遊矢さんに聞いたんだ!」

あ…アイツ……!!ヒカリに余計なことを!

「ヒカリ、間違っても見にこようなんて…」
「うん!見に行くね!」

あぁ…嫌な予感しかいないからこれ以上はなにも言わないで置くしかないか…。

「わー!もう寝る時間だよ、おやすみ!お兄ちゃん」

「おやすみ」

俺も寝るか…、とりあえず明日遊矢に会ったらシバく!!


~~~


「ヘックシ!!」
『大丈夫ですか?ご主人、風邪とかやめてくださいよ』
「いや、多分噂じゃねえかな…」

明日から練習だってのに風邪引いたらカンベンだぜ。
まぁヘーキだけどな!

「さってと!そろそろ寝るか…」
『おやすみなさい、ご主人』
「おやすみ~…」

きっと明日から面白くなる、楽しみになってきたぜ!


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『さぁって、と』
『随分かかりましたね、お疲れさまです』
『おうよぉ!しっかり洗脳完了だ!』
『全く、ハートランド郊外の不良集団とは…美しさには欠けますが…』
『今はそういうのより量だろーがよ』
『そうですね…』

『さぁ、明日からたっぷり働いてもらうぜ…!』



続く

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【あとがき】


今回の一言、「ヒカルくんマジキャラ違い」
今回は可愛いヒカルくんだったね、可愛い…可愛いけど狙ってはない。

さて五作目発表後初の更新、日常回かつ全くデュエルなし、更にノベルゲーレベルの会話文量。書いてて疲れたのとホントにヒカルくんのキャラが迷子。思い描いたのとだいぶ違ってましたorz
ただヒカルくんがヒロイン定番の展開をやってくれるのが嬉しい。
あとゼウラがだんだんネタ化し始めた。
長いようで短いような気がするよ。つかやっぱりかかるよね、時間が。パソコンがいかに大切かホントに分かるわぁっていうね。

次回!!文化祭開幕!ってまさかの事件が発生!?更に伝説のデュエリストも現れる!
ギャラリーにアイツがいたり、忙しいというわりには助けてくれるリンとか、よく考えたら全くなんにも考えてないから仕事してないトルテとかヒカルくん巻き込む日常回はかなり楽しいよ。
そして次回落ちる予定。


【予告】
文化祭演劇準備で大忙しの遊矢たち、ところが何故か練習時間にヒカルが現れず、主役抜きの事態が起こっていた。
一方、ゼウラとポセイラの刺客たちによって毎日のようにデュエルを申し込まれていたヒカル。
遂にやってきた文化祭の日、絶体絶命の遊矢たちの前にあの伝説のデュエリストが現れる!
次回!第79話「伝説のデュエリスト登場!奇跡のデュエル!」