ジェレスタ79「 伝 説 の デ ュ エ リ ス ト 登 場 ! 奇 跡 の デ ュ エ ル ! 」
ーーーキーンコーンカーンコーン
廊下を走り抜けていく。
放課後、今日から文化祭演劇の練習だ!遅れたらアミに怒られる!
「おっ!ヒカルー!」
「…、ふんっ…」
「なぁっ!そっぽ向くなよー!なんか悪いことしたか?」
一体俺がなにしたから……いや、むしろ普通に機嫌が悪いってこともあるか、ってそんなこと考えてる暇ねーだろ!!
「お前がヒカリに文化祭のこと教えたから」
「えー、悪かったか…?」
「当たり前だ!!」
あー……、悪かったかな。
一応謝ったけど機嫌は悪そうだ、そんなに禁句だったなんてなぁ…。
タスキは「絶対ご主人が悪い」とか言うし。
「あっ、おいヒカル!」
「なに…わっ!」
「手、大丈夫かよ!」
「触るな!……、別にこれくらい。あれよりマシだ」
「なら良いんだけどさ…」
『……?あれってなんでしょう…』
多分ほとんど消毒しかしてないだろうから痕残るぜ?しかも朝ごろまで血だらけだったろうし、刺し傷って怖いな。
「遊矢遅ーい!!」
「わりぃ!ってヒカルと一緒に来たのにヒカルはお咎めなしかよ!」
「アンタより授業の終わった時間が遅いのよ!」
「そういうことな…」
文化祭演劇専用の教室に着いたときにはもうみんな集まってた。慶太たちはともかく、なんで璃緒さんまでいるんだ…!?
「みんなお揃いになりましたね、それじゃあ、始めましょうか」
「なんで璃緒さんが…?」
「璃緒先生よ、一応、担当の先生なの」
「あーそういうことかぁ」
「あと、今日はサイズ計ったりしますから」
衣装の?
女子はもうやったらしい。ヒカルも自分で作ってるから関係なしとのこと。
「あーでも、髪型を考えたいから一回解いてくれるかしら?」
「えっ!?」
すっとんきょーってヤツ?そんな声をあげたヒカルにビックリした。
そういえば髪解いたヒカルって見たことなかったような気がする…気のせい……じゃないよな。
「それは………」
「嫌ならいいのですけど…」
「いや、構わない…」
ヒカルが片手でいっつも着けてるオレンジ色のリボンの端っこを引っ張るとポニーテール部分が璃緒さんの髪のような外側にハネたロングヘアーになった。
璃緒さんよりちょっと短いくらいかな。
『美人…!』
「なにジロジロ見てるんだ」
「だってフツーにスッゲーなぁって思ったからさ!」
「なんだそれ、誉めてんのかよ」
「うん!」
でもすごいよな。なんだってこんな伸ばしてんのか分かんないけどさ。とりあえず冬は暖かそうだぜ。
「あれ、先輩、この紙袋は…?」
「別に開けていいけど、」
「わー!すごーい!」
「もうほとんど完成してる…!!」
「授業行ってないしな、暇だったから。それにそんなん…」
「手ぇ傷だらけのクセに…」
「うるせぇ」
やることないって、なら授業出ればいいのに……って待てよ!?さっきアミが授業時間があーだこーだ言ってなかったか…!?
「ヒカルくんは当日ちょっと結び方変えましょう!」
「なっ!?」
「大丈夫!そういうことは私に任せてちょうだいね!」
「はぁ……」
「私たちも頑張らなくっちゃ!」
「そうね!」
「俺らも頑張るぜ!」
「忙しくなるな、まぁ大事な幼馴染み二人のためだぜ」
とにかく!!今日から頑張らなきゃってことだよな!
「とにかく練習、始めようぜ!」
「うんうん!!」
「それじゃあ、まずは、最初の三人のシーンから!」
~~~
【文化祭まであと8日!】
次の日の放課後。
授業が終わって一時間くらい経ったのにヒカルだけ来ない。
「なんで来ないのかな…」
「元々は誘われただけだからとか…それとも練習する必要がないから…とか…」
もしかしてまたなにかあったのか…もしかしたらを挙げたらキリがないんだけどさ。でも本当に心配だ…。
「しょうがないから、練習始めましょうか」
「おい!!」
「遊矢!」
「しかたないよ、みんなで先に始めよう?」
「…うん」
本当に、なにがあったんだ…アイツ。
~~~
「うわぁぁ!!」
《???のライフ:0》
「はぁ…はぁ…」
ヤツら、本格的に潰しにかかってるってワケかよ…。
「…、上等だ…」
潰すなら潰してみやがれ。例え集団だろうが全力で叩くのみだ。
「……時間…、もう閉校時間か…」
結局参加できなかったな…。
~~~
【文化祭まであと7日!】
「あそこにいるの朽祈先輩よね!」
「なにしてるのかなぁ?」
「かっこい~!!」
「実里~、彩花~、祈里~なにしてるの?」
「見て見て!」
「朽祈先輩今日もかっこいいよ!」
中庭を見ると端の辺りで台本を持ちながらヒカル先輩が行ったり来たりしてた。
「ほら!今度演劇やるじゃん?」
「アミ羨ましいー!」
「楽しみにしてるから!」
「うん!」
やっぱり、先輩は私たちを裏切ったりしないもの!
~~~
【文化祭まであと6日!】
「えっと、…」
「うわ!付箋多ッ!」
「遊矢…」
ヒカル、まだ一回も練習来てないけど、こんなに台本読み込んでるのか…。
「なんかあったのか?」
「…いや、忙しくて…」
「……前日4時から通し稽古あるらしいからさ、絶対来いよ!」
「……わかった…!」
『良いんですか?』
「あぁ!ヒカルは絶対裏切らない!」
俺もみんなもそう信じてる!
~~~
【文化祭まであと2日!】
「すっごーい!!」
「サイズ、合ってるかしら?」
「あたしら頑張ったもんな!」
「アンタは裁断と糸通しにアシスタントだけね」
「ぶーっ!」
これで全員分の衣装完成!完成度めっちゃたけー!!
「明日の通し稽古は衣装着てやろうね!」
「ぼ…僕はかんべぇぇん…」
大河は重さでヨレヨレだ、でも楽しい!みんなとひとつの成功を目指すのが、今、凄く楽しいんだ!
~~~
【文化祭まであと1日!】
「ご無事ですか、霊使いの少年よ!」
「お…王女様~!」
「おぉ~」
『舞台馴れ…!?』
「まさか、最後の通し稽古で現れるなんて思いませんでしたわ」
これなら明日の本番!きっと大丈夫だ!!
「ヒカル!」
「ん?」
「明日、頑張ろうな!」
「……あぁ…!」
舞台もセットが完了して、明日の本番まで準備完了だ。
明日、絶対成功だぜ!
~~~
『……、これで』
『ふっ…最後の準備は完璧ですね』
『あぁ。…いや、まさか驚いたぜ…』
『お互いの信頼が重要な絆を壊すため、全校生徒の前で舞台が失敗すれば、その責任転嫁に移る。信頼は削ぎ落とされるのです』
『しかも運よく主役は朽祈ヒカル、ヤツは風雅遊矢を最も信頼している。だからこそ、ヤツが現れないようにし、失敗をヤツのせいにする!』
『そうするだけで戦力が削がれますからね……いやぁ…実に、完璧だ……』
~~~
【文化祭当日!】
「カイトお兄ちゃん!あれ買って良い?」
「あぁ、」
「やったぁ!」
「まさか兄さんがヒカリくんの保護者してるなんてね」
まさにハルトの言う通りだぜ。カイトがっていうよりカイトに任せたのがビックリした。
「んで、アイツから頼まれたんだろ?」
「なんだかんだ言うわりには文化祭に連れていけなど…」
まぁ一応に信用されてるってわけな。
『遊馬、あの食べ物はなんだ?』
「ありゃーチョコバナナ、バナナにチョコかけてんだよ。めちゃめちゃうまいんだぜ!」
アストラルも見るのが初めてなくらい今の文化祭ってレベルたけーんだなぁ…。
~~~
「あーっ!!遅い…!」
「遅刻かな…」
「そんなわけねーって!」
絶対来ないわけないんだ…!来ないわけ…!
「でももうあと1時間もない…準備しなきゃならないよ?」
「とにかく準備しよーよー!」
「………、分かった」
~~~
「ギャラクシー・カオスで、ダイレクトアタック!!」
《攻撃力:4000》
「ぐあぁぁあ!!!」
《???のライフ:0》
「次だ…!行けッ!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
《???のライフ:0》
敵が多すぎる…!!完全に囲まれたんじゃ逃げようがない。
しかも遊矢と違って俺の力は空を飛べるようなものじゃない、だからと言って下はアスファルト……。
「一体どうすれば…!」
「諦めるにはまだ早いぜ!」
「…!」
今、上から…!?
「あ…貴方は…!!」
~~~
《昔々、とある王国に霊使いのダルク・ライナ・エリアが居ました。ある日、遊んでいたダルクがこう言い出しました!》
「なぁ知ってるか?ドラゴンがいるっていうお城!」
「知っているけど…」
「あんな危険な場所、一体どうしたの?」
「みんなで今夜、肝試しに行こうよ!」
《ダルクは肝試しを提案しました、しかし、ドラゴンがいる危険なところに行きたくないと言ったライナは肝試しに行くことを拒否しました。仕方なく、ダルクとエリアは真夜中に、国の外れにある古びたお城に行きました》
「い…意外とスリリング~!」
「怖いよ…早く帰ろう?」
「もうちょっと!なっ?」
《奥に進むと広間に出ました、しかしそんなとき!まさかの出来事が!!》
「が…がおー!!」
「うわぁっ!」
「きゃー!」
「お、俺の城に勝手に入るなんて許さないー!」
《お城を住みかにしていた真紅眼に襲われた二人は捕まってしまいました…》
「結構うまくできてるのね」
「そうだな!」
《真紅眼はあることを思い付き、エリアにこう命じました!》
「そ、そうだー!王女を連れてこい!王女とオレサマが決闘して王女が勝ったらお前のお友だちを返してやるー!」
「そ…そんなー!」
《エリアは言われた通り、王国に戻って行きました。さぁ果たして、王女は現れるのでしょうか!》
~~~
「これからどうするの…?」
「どうにかして場を繋がなきゃ…!」
「だよな…」
なんで来ないんだろう…、Dゲイザーに連絡が来ない…。
とにかく今は繋ぎを入れよう…!
「大河!アドリブでいいから、繋ぎに入るぜ!」
「うん、じゃあ先に行くよ!」
大河が舞台に出ようとしたとき、ドラゴンの頭部分が背景に当たってしまった!
十分補強されてるはずの背景やセットがガタガタ崩れ始めた!
「う、うぇぇっ!?」
「なにこれ!!」
結局全壊、一体どういうことなんだ…!?
「なにが起きたの!?」
「全部崩れたぜ!?」
「…どういうことだ」
「なにしてんだよ一年!!」
「しっかりしろー!」
「主役はどうしたのよ!」
「私たち、朽祈くん見に来たんだけど!」
「そーよそーよ!!」
『…、完璧だな』
『完璧ですね……』
『あぁ、ちょうどいい具合に補強部分にヒビをいれて正解だったな』
「ぷはぁっ!」
「どうなってるの…」
「う…うぇ…ごめんなさいぃ…」
「大河!泣くなよ!」
「そ…そんな…僕の台本…なのに…」
みんなからは野次、舞台は崩壊…こんなんあんまりだぜ…。
「もしかしてじゃなくても失敗…?」
「そんな…そんなこと…っ!」
「なにっ!?」
「眩しい…!」
舞台からちょうど正面、かなり高さのある人一人立てるくらいの場所にライトがすべて照らされた。
「……、無事だったか!みんな!」
「「「「!!」」」」
「ヒカル!」
「来たぁ!!」
「かっこいいー!」
まさかあんなところから登場なんて…!
《さぁ!いよいよクライマックス!王女アテナ登場です!》
「…っ…!」
飛び降りた!?いや、まずいだろ!
『ご主人!』
「あぁ!」
着地目前でアーマードの力が働いた!天使みたいな翼が広がって着地…ってヒカル、俺ならって予測しての行動なのか…!?
「すごい落下速度!」
「しかも着地の演出天使みたい!」
「かっこいいー!」
スタスタこっちまで来て舞台に上がってきた。
「ドラゴンはもうボロボロで出てこれないぜ」
「大丈夫だ」
「マジか!?」
「俺が戦うべき真の敵、それは、そこにいる!」
模造の槍を隅っこのほうに向ける、その場所にライトが集中して俺にもよく覚えがある過去の人の姿が現れ、観客がどよめき始める。
「ゆ………遊戯さん!?」
続く
==================
【あとがき】
今回の一言、「それにしてもこのヒカル、ノリノリである」。
ダメだコイツ……やる気ありすぎる…。
デュエルあったにはあったけど次回はフルデュエルです。全部デュエルに費やします。
十代とアミちゃん、遊星と遊矢がデュエルしたのに遊戯の世界だけ凡骨だったので、それはさすがに書かざるを得ないですからね。やる気出して頑張らなきゃな。
とりあえずリンは仕事しろ、ホントにニート化してんぞw
あととんでもなく下らないことしてる五王のバカ二人。考えた結果なんだろうけどおいデュエルしろよってんだ、特にポセイラ。
さて次回!ラストスパート!遊戯とのデュエルです!!
地味にみんな受け入れちゃう不思議。
更には神のカードも登場!ヒカルくんは変身しないから安心してください。
【予告】
突然現れた伝説のデュエリスト「武藤遊戯」。それはリンがヒカルのために呼び出した過去からの助っ人だった。
遊戯の提案でヒカルと遊戯のデュエルが始まった!
伝説のデュエリストを相手にし、一歩も引かないデュエルを展開する。
そしてデュエルが最高潮の熱さに達した時!遊戯の最強にして絶対の「神」が降臨する!
次回!第80話「伝説の神 オシリスの天空竜、降臨!」
ーーーキーンコーンカーンコーン
廊下を走り抜けていく。
放課後、今日から文化祭演劇の練習だ!遅れたらアミに怒られる!
「おっ!ヒカルー!」
「…、ふんっ…」
「なぁっ!そっぽ向くなよー!なんか悪いことしたか?」
一体俺がなにしたから……いや、むしろ普通に機嫌が悪いってこともあるか、ってそんなこと考えてる暇ねーだろ!!
「お前がヒカリに文化祭のこと教えたから」
「えー、悪かったか…?」
「当たり前だ!!」
あー……、悪かったかな。
一応謝ったけど機嫌は悪そうだ、そんなに禁句だったなんてなぁ…。
タスキは「絶対ご主人が悪い」とか言うし。
「あっ、おいヒカル!」
「なに…わっ!」
「手、大丈夫かよ!」
「触るな!……、別にこれくらい。あれよりマシだ」
「なら良いんだけどさ…」
『……?あれってなんでしょう…』
多分ほとんど消毒しかしてないだろうから痕残るぜ?しかも朝ごろまで血だらけだったろうし、刺し傷って怖いな。
「遊矢遅ーい!!」
「わりぃ!ってヒカルと一緒に来たのにヒカルはお咎めなしかよ!」
「アンタより授業の終わった時間が遅いのよ!」
「そういうことな…」
文化祭演劇専用の教室に着いたときにはもうみんな集まってた。慶太たちはともかく、なんで璃緒さんまでいるんだ…!?
「みんなお揃いになりましたね、それじゃあ、始めましょうか」
「なんで璃緒さんが…?」
「璃緒先生よ、一応、担当の先生なの」
「あーそういうことかぁ」
「あと、今日はサイズ計ったりしますから」
衣装の?
女子はもうやったらしい。ヒカルも自分で作ってるから関係なしとのこと。
「あーでも、髪型を考えたいから一回解いてくれるかしら?」
「えっ!?」
すっとんきょーってヤツ?そんな声をあげたヒカルにビックリした。
そういえば髪解いたヒカルって見たことなかったような気がする…気のせい……じゃないよな。
「それは………」
「嫌ならいいのですけど…」
「いや、構わない…」
ヒカルが片手でいっつも着けてるオレンジ色のリボンの端っこを引っ張るとポニーテール部分が璃緒さんの髪のような外側にハネたロングヘアーになった。
璃緒さんよりちょっと短いくらいかな。
『美人…!』
「なにジロジロ見てるんだ」
「だってフツーにスッゲーなぁって思ったからさ!」
「なんだそれ、誉めてんのかよ」
「うん!」
でもすごいよな。なんだってこんな伸ばしてんのか分かんないけどさ。とりあえず冬は暖かそうだぜ。
「あれ、先輩、この紙袋は…?」
「別に開けていいけど、」
「わー!すごーい!」
「もうほとんど完成してる…!!」
「授業行ってないしな、暇だったから。それにそんなん…」
「手ぇ傷だらけのクセに…」
「うるせぇ」
やることないって、なら授業出ればいいのに……って待てよ!?さっきアミが授業時間があーだこーだ言ってなかったか…!?
「ヒカルくんは当日ちょっと結び方変えましょう!」
「なっ!?」
「大丈夫!そういうことは私に任せてちょうだいね!」
「はぁ……」
「私たちも頑張らなくっちゃ!」
「そうね!」
「俺らも頑張るぜ!」
「忙しくなるな、まぁ大事な幼馴染み二人のためだぜ」
とにかく!!今日から頑張らなきゃってことだよな!
「とにかく練習、始めようぜ!」
「うんうん!!」
「それじゃあ、まずは、最初の三人のシーンから!」
~~~
【文化祭まであと8日!】
次の日の放課後。
授業が終わって一時間くらい経ったのにヒカルだけ来ない。
「なんで来ないのかな…」
「元々は誘われただけだからとか…それとも練習する必要がないから…とか…」
もしかしてまたなにかあったのか…もしかしたらを挙げたらキリがないんだけどさ。でも本当に心配だ…。
「しょうがないから、練習始めましょうか」
「おい!!」
「遊矢!」
「しかたないよ、みんなで先に始めよう?」
「…うん」
本当に、なにがあったんだ…アイツ。
~~~
「うわぁぁ!!」
《???のライフ:0》
「はぁ…はぁ…」
ヤツら、本格的に潰しにかかってるってワケかよ…。
「…、上等だ…」
潰すなら潰してみやがれ。例え集団だろうが全力で叩くのみだ。
「……時間…、もう閉校時間か…」
結局参加できなかったな…。
~~~
【文化祭まであと7日!】
「あそこにいるの朽祈先輩よね!」
「なにしてるのかなぁ?」
「かっこい~!!」
「実里~、彩花~、祈里~なにしてるの?」
「見て見て!」
「朽祈先輩今日もかっこいいよ!」
中庭を見ると端の辺りで台本を持ちながらヒカル先輩が行ったり来たりしてた。
「ほら!今度演劇やるじゃん?」
「アミ羨ましいー!」
「楽しみにしてるから!」
「うん!」
やっぱり、先輩は私たちを裏切ったりしないもの!
~~~
【文化祭まであと6日!】
「えっと、…」
「うわ!付箋多ッ!」
「遊矢…」
ヒカル、まだ一回も練習来てないけど、こんなに台本読み込んでるのか…。
「なんかあったのか?」
「…いや、忙しくて…」
「……前日4時から通し稽古あるらしいからさ、絶対来いよ!」
「……わかった…!」
『良いんですか?』
「あぁ!ヒカルは絶対裏切らない!」
俺もみんなもそう信じてる!
~~~
【文化祭まであと2日!】
「すっごーい!!」
「サイズ、合ってるかしら?」
「あたしら頑張ったもんな!」
「アンタは裁断と糸通しにアシスタントだけね」
「ぶーっ!」
これで全員分の衣装完成!完成度めっちゃたけー!!
「明日の通し稽古は衣装着てやろうね!」
「ぼ…僕はかんべぇぇん…」
大河は重さでヨレヨレだ、でも楽しい!みんなとひとつの成功を目指すのが、今、凄く楽しいんだ!
~~~
【文化祭まであと1日!】
「ご無事ですか、霊使いの少年よ!」
「お…王女様~!」
「おぉ~」
『舞台馴れ…!?』
「まさか、最後の通し稽古で現れるなんて思いませんでしたわ」
これなら明日の本番!きっと大丈夫だ!!
「ヒカル!」
「ん?」
「明日、頑張ろうな!」
「……あぁ…!」
舞台もセットが完了して、明日の本番まで準備完了だ。
明日、絶対成功だぜ!
~~~
『……、これで』
『ふっ…最後の準備は完璧ですね』
『あぁ。…いや、まさか驚いたぜ…』
『お互いの信頼が重要な絆を壊すため、全校生徒の前で舞台が失敗すれば、その責任転嫁に移る。信頼は削ぎ落とされるのです』
『しかも運よく主役は朽祈ヒカル、ヤツは風雅遊矢を最も信頼している。だからこそ、ヤツが現れないようにし、失敗をヤツのせいにする!』
『そうするだけで戦力が削がれますからね……いやぁ…実に、完璧だ……』
~~~
【文化祭当日!】
「カイトお兄ちゃん!あれ買って良い?」
「あぁ、」
「やったぁ!」
「まさか兄さんがヒカリくんの保護者してるなんてね」
まさにハルトの言う通りだぜ。カイトがっていうよりカイトに任せたのがビックリした。
「んで、アイツから頼まれたんだろ?」
「なんだかんだ言うわりには文化祭に連れていけなど…」
まぁ一応に信用されてるってわけな。
『遊馬、あの食べ物はなんだ?』
「ありゃーチョコバナナ、バナナにチョコかけてんだよ。めちゃめちゃうまいんだぜ!」
アストラルも見るのが初めてなくらい今の文化祭ってレベルたけーんだなぁ…。
~~~
「あーっ!!遅い…!」
「遅刻かな…」
「そんなわけねーって!」
絶対来ないわけないんだ…!来ないわけ…!
「でももうあと1時間もない…準備しなきゃならないよ?」
「とにかく準備しよーよー!」
「………、分かった」
~~~
「ギャラクシー・カオスで、ダイレクトアタック!!」
《攻撃力:4000》
「ぐあぁぁあ!!!」
《???のライフ:0》
「次だ…!行けッ!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
《???のライフ:0》
敵が多すぎる…!!完全に囲まれたんじゃ逃げようがない。
しかも遊矢と違って俺の力は空を飛べるようなものじゃない、だからと言って下はアスファルト……。
「一体どうすれば…!」
「諦めるにはまだ早いぜ!」
「…!」
今、上から…!?
「あ…貴方は…!!」
~~~
《昔々、とある王国に霊使いのダルク・ライナ・エリアが居ました。ある日、遊んでいたダルクがこう言い出しました!》
「なぁ知ってるか?ドラゴンがいるっていうお城!」
「知っているけど…」
「あんな危険な場所、一体どうしたの?」
「みんなで今夜、肝試しに行こうよ!」
《ダルクは肝試しを提案しました、しかし、ドラゴンがいる危険なところに行きたくないと言ったライナは肝試しに行くことを拒否しました。仕方なく、ダルクとエリアは真夜中に、国の外れにある古びたお城に行きました》
「い…意外とスリリング~!」
「怖いよ…早く帰ろう?」
「もうちょっと!なっ?」
《奥に進むと広間に出ました、しかしそんなとき!まさかの出来事が!!》
「が…がおー!!」
「うわぁっ!」
「きゃー!」
「お、俺の城に勝手に入るなんて許さないー!」
《お城を住みかにしていた真紅眼に襲われた二人は捕まってしまいました…》
「結構うまくできてるのね」
「そうだな!」
《真紅眼はあることを思い付き、エリアにこう命じました!》
「そ、そうだー!王女を連れてこい!王女とオレサマが決闘して王女が勝ったらお前のお友だちを返してやるー!」
「そ…そんなー!」
《エリアは言われた通り、王国に戻って行きました。さぁ果たして、王女は現れるのでしょうか!》
~~~
「これからどうするの…?」
「どうにかして場を繋がなきゃ…!」
「だよな…」
なんで来ないんだろう…、Dゲイザーに連絡が来ない…。
とにかく今は繋ぎを入れよう…!
「大河!アドリブでいいから、繋ぎに入るぜ!」
「うん、じゃあ先に行くよ!」
大河が舞台に出ようとしたとき、ドラゴンの頭部分が背景に当たってしまった!
十分補強されてるはずの背景やセットがガタガタ崩れ始めた!
「う、うぇぇっ!?」
「なにこれ!!」
結局全壊、一体どういうことなんだ…!?
「なにが起きたの!?」
「全部崩れたぜ!?」
「…どういうことだ」
「なにしてんだよ一年!!」
「しっかりしろー!」
「主役はどうしたのよ!」
「私たち、朽祈くん見に来たんだけど!」
「そーよそーよ!!」
『…、完璧だな』
『完璧ですね……』
『あぁ、ちょうどいい具合に補強部分にヒビをいれて正解だったな』
「ぷはぁっ!」
「どうなってるの…」
「う…うぇ…ごめんなさいぃ…」
「大河!泣くなよ!」
「そ…そんな…僕の台本…なのに…」
みんなからは野次、舞台は崩壊…こんなんあんまりだぜ…。
「もしかしてじゃなくても失敗…?」
「そんな…そんなこと…っ!」
「なにっ!?」
「眩しい…!」
舞台からちょうど正面、かなり高さのある人一人立てるくらいの場所にライトがすべて照らされた。
「……、無事だったか!みんな!」
「「「「!!」」」」
「ヒカル!」
「来たぁ!!」
「かっこいいー!」
まさかあんなところから登場なんて…!
《さぁ!いよいよクライマックス!王女アテナ登場です!》
「…っ…!」
飛び降りた!?いや、まずいだろ!
『ご主人!』
「あぁ!」
着地目前でアーマードの力が働いた!天使みたいな翼が広がって着地…ってヒカル、俺ならって予測しての行動なのか…!?
「すごい落下速度!」
「しかも着地の演出天使みたい!」
「かっこいいー!」
スタスタこっちまで来て舞台に上がってきた。
「ドラゴンはもうボロボロで出てこれないぜ」
「大丈夫だ」
「マジか!?」
「俺が戦うべき真の敵、それは、そこにいる!」
模造の槍を隅っこのほうに向ける、その場所にライトが集中して俺にもよく覚えがある過去の人の姿が現れ、観客がどよめき始める。
「ゆ………遊戯さん!?」
続く
==================
【あとがき】
今回の一言、「それにしてもこのヒカル、ノリノリである」。
ダメだコイツ……やる気ありすぎる…。
デュエルあったにはあったけど次回はフルデュエルです。全部デュエルに費やします。
十代とアミちゃん、遊星と遊矢がデュエルしたのに遊戯の世界だけ凡骨だったので、それはさすがに書かざるを得ないですからね。やる気出して頑張らなきゃな。
とりあえずリンは仕事しろ、ホントにニート化してんぞw
あととんでもなく下らないことしてる五王のバカ二人。考えた結果なんだろうけどおいデュエルしろよってんだ、特にポセイラ。
さて次回!ラストスパート!遊戯とのデュエルです!!
地味にみんな受け入れちゃう不思議。
更には神のカードも登場!ヒカルくんは変身しないから安心してください。
【予告】
突然現れた伝説のデュエリスト「武藤遊戯」。それはリンがヒカルのために呼び出した過去からの助っ人だった。
遊戯の提案でヒカルと遊戯のデュエルが始まった!
伝説のデュエリストを相手にし、一歩も引かないデュエルを展開する。
そしてデュエルが最高潮の熱さに達した時!遊戯の最強にして絶対の「神」が降臨する!
次回!第80話「伝説の神 オシリスの天空竜、降臨!」