新説『マジすか学園4』
#3976『そのアイドル、天然につき126 混乱する現場』
そんな時、口出ししてくるのは、ねるだ。
『いろいろ揉めてるけど、今のうちに言っておくから。捜査本部のお偉方がどんな判断を下したとしても、今日この山荘で起きたことは、私たちが全て隠さず書かせてもらう』
茜が言い返す。
『こんな結果になって、全部書くつもり!?そんなの到底許可できない!』
『何を言ってるの?私たちに同行を依頼したのは、そういうつもりだったんでしょ』
『違う!記録係と立ち会い人として依頼しただけで、記事にして欲しいとは、ひと言も言ってない!』
『今さら何を言ってるの?そっちの都合で、こっちまで振り回さないでよ!』
ついに茜が強攻策に出る。
『もういい!書き残した資料を全部提出してもらう!こっちで検閲して、許可した分だけ公開させるから!』
すかさず平手が抗議する。
『そんな馬鹿な話があるか!起きたことを全部公開するから意味があるのに、検閲なんて必要ないだろ!差し押さえするつもりか!』
愛佳からも指摘が入る。
『資料だけじゃない。ずっと録音してることも分かってるんだから、そっちは全部消去してもらおうか』
『はぁ?そんなこと断る!分かった!遺体が消えたので、ゆうゆから聞いた話も全部なかったことにしようとしてるんだな。さっきの電話で、上の連中にそこまで指示されたんじゃないのか!』
電話に出た茜が言い返す。
『想像するのは勝手だけど、言うことを聞いてもらう!』
『断る!』
茜と愛佳に対し、ねると平手が一触即発になってしまった。北川としては、いよいよ自分たちの出番になるのかと嫌な予感がする。そしてその通りになる。資料と録音データを奪うようにと、茜から指示が飛んだ。向こうはたった2人で、こっちは茜と愛佳を除いたとしても6人いる。それも力関係は比較にならない。ねると平手は資料と録音データを手放すしかないだろうと思う。すると今泉と小林、梨加と菜々香が上司からの命令を聞き入れ、2人との距離を詰める。嫌な仕事だと思うが、北川も堀と意思の疎通を図ってから動き出す。ねると平手は資料を背中の後ろに隠しながら、壁際に後退するしかない。
そんな時、ソファーで瑠夏に付き添われていたゆうゆに異変が起きた。身体を起こし、青ざめた顔で『あ、あ、あれ…』などとうわ言のように口走ったと思ったら、今度は頭を抱えた。
ゆうゆの異変を見て、北川は嫌な予感がする。先輩たちはもう忘れたかもしれないが、ゆうゆの話では、6日前にここで亡くなった6人の女性たちが、6日後の今日、この広間に現れて痕跡を残すから、ちゃんと見ていてよねと、言い残したそうだ。先輩たちはそんなことが現実に起こるはずがないと相手にしない感じだったが、有り得ない話ではない。
◇続く