#3961『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』


#3961『そのアイドル、天然につき111 七瀬が見た現実』




「KEYABINGO!」(15/47話)


【出 演】

七 瀬(ななまる 西野七瀬)
美 彩(シェリー 衛藤美彩)
玲 香(ブナン 桜井玲香)
沙友理(ユウウツ 松村沙友理)
一 実(コテ 高山一実)
佑 美(イマドキ 若月佑美)





ある運命のもと、山荘に集まった6人の女性たち。

みんなが職業の話をしている時、七瀬が数日前のことを思い出す。休日の午後、自分の部屋でウトウトしていたら、まだ幼かった自分が交通事故に巻き込まれた場面が再現された。夢や幻を見たのではなく、現実に起きた出来事だった。さらにそのあとの記憶も甦った。血まみれになって車道に倒れている幼い自分の姿を、なぜか痛みを感じないまま、少し高いところに浮いたような状態で見ていた。自分の身体を抱いて泣き叫ぶお母さんがいて、そんな様子を何人もの大人たちが心配そうに見ている。やがて騒ぎになった。

『私はここにいるよ!』と呼び掛けてみるが、声にはならないし、お母さんも気付いてくれない。しばらくするとサイレンを鳴らしながら救急車がやって来た。それに乗せられていく自分の姿を見て、後ろから車にぶつけられたのだと理解した。ただどうして自分の気持ちだけは生きていて、そんな様子を見ていられるのか分からないままだった。

次の日もモヤっとした意識の中、目の前で行われる儀式を黙って見ていた。お父さんとお母さんだけでなく、顔を知っている何人もの大人たちや、幼稚園の友達や先生が、箱の中で眠っている自分を見ては泣いている。もう自分はこの世からいなくなってどこかへ行ってしまうのか、それとも消えてなくなるのか、そんな気持ちになった。

しばらくすると、目の前が段々と真っ白くなり始め、みんなの姿が見えにくくなった。ついにさよならをする時が来たのだと分かり、怖くなって抵抗しようしたが為す術もなく、やがて何も見えなくなった。

それからどのくらい時間が経ったかの分からないが、突然意識が戻った。真っ白い雲に包まれたような場所にいた。自分1人ではなく、周りには同じ年くらいの男の子と女の子が青ざめた顔でしゃがみ込んでいるが、泣いている子も大勢いた。すると上の方が突然光り出し、そこから声が聞こえてきた。一言一句までは覚えていないが、まだ幼いのに突然迎えた死を憐れんで、特別にもう1度命を戻してもらえることになった。ただし一定の年数だけだとの制限付きだった。小さかった七瀬は、この言葉の意味がよく分からなかったが、もしかするとまたお父さんとお母さんに会えるという意味なのかと期待した。

その直後、目を開けていられないくらいの眩しい光を浴び、たまらず頭を抱え込んだまま、その場で丸くなった。さらに身体が凄い勢いでどこかに飛ばされるように感じたあと、気付いたらあの日と同じ幼稚園からの帰り道に戻り、お母さんと一緒に無事自宅へ帰ったのだった。それから徐々に、あの雲に包まれた場所で体験したことの記憶を失った。

七瀬は小学校から高校まで普通の女の子として過ごした。成人になってからふとした時に得体の知れない違和感を覚えることはあったが、思い出そうとしても真相を突き止められないので、それ以上は考えないことにしていた。

そしてあの休日の午後、自分の部屋でウトウトしていた時に再現された場面を見て、全ての記憶が甦った。あの眩しく光るものに言われた通り、一定の年数が終わろうとしているのだと直感で分かった。両親に相談など出来るはずないし、また何かの準備をする気にもなれないまま数日を過ごしているうちに、いきなりこの山荘の前に立っていたのだ。集まった5人を見て、あの時周りにいた同じ年くらいの子たちなのだろうと何となく分かった。


◇続く