新説『マジすか学園4』
#3959『そのアイドル、天然につき109 集められた理由』
一 実(コテ 高山一実)
山荘でゆうゆの心霊捜査が始まったが、その6日前に、6人の女性たちが何らかの理由でここに集まった。
広間で6人が名前を名乗り合ってから、ソファーに座った。すると美彩が喋り始める。
『みんなはどうやってこの場所に来たの?』
七瀬も抱いていた疑問だが、佑美が最初に答える。
『意識を失って、気付いた時にはあのバッグを持って、この山荘の近くに立っていた』
美彩が少しだけ頬を緩める。
『私とそう。やっぱみんな同じなんだね。何であんなバッグなんて持ってたんだろう。もう必要ないのに…。あっ、ごめん』
最後のひと言で、場の空気が一層重くなった。山荘の広間には太陽の光がいっぱい差し込んでいて楽園のようなのに、まるで正反対だ。ここで一実から質問が飛ぶ。
『みんなは両親とかに話をする時間はあった?私はしなかったけど。つうか、できないよね…』
真っ先に反応するのは佑美だ。
『しない方が正解だろうね。たとえ短い時間でも、悲しい想いをさせることはないでしょう。すぐに忘れてしまうことなんだろうけど』
ここで玲香が語気を強める。
『みんなもう諦めちゃってるんだ…。私はまだ諦めたくない!何とかしてこんな運命から逃れたい!』
既に悲痛な顔をしている沙友理が、『私も!』と玲香を支持した。
七瀬は山荘の前でこの5人と顔を合わせた時に分かった。自分と同じ運命のもとに、ここまで生きてきたということを。ただ集められた場所がなぜこの山荘だったのか分からない。別にどこでも良かったが、あまり人目につかず、自然の中にある場所を選んでくれたのかもしれない。
すると美彩が玲香に尋ねる。
『運命から逃れたいって、何か方法でも考えてあるの?』
玲香が重い口を開く。
『考えてはみたけど、とても思い付かなかった。でもこうして6人集まったんだから、みんなで考えれば何かいい案が浮かぶかもしれないじゃない』
『うーん。私たちではとても対応しきれない強い意思が動いていたからこそ、今ここに来ているんだし、そうじゃなければ私たちはもうとっくに…』
美彩が最後は言葉に詰まった。その沈黙を破るのは沙友理だ。
『ともかくここでこうして会えたんだから、残りの時間だけでも楽しい気持ちで過ごさない?みんなで話し合っているうちに、もしかしたらいい案が浮かぶかもしれないし』
沙友理の意見を聞いた七瀬。前半部分はその通りだと思う。だが後半部分のように楽観的な気持ちにはなれないが、否定しようという気もない。他の者たちも同じ考えなのか誰も反対しないので、少しだけ気持ちが楽になった。それなら話題を変えてみてはどうかと提案してみる。
『みんなは普段どんなことをやってるの。もし良かったら話さない?私はauショップで働いてるんだけど。あーっ、そう言えば私の携帯ってどうなっちゃうんだろうな。まぁーいいか』
次は七瀬に1番近い美彩の順番になった。
◇続く