新説『マジすか学園4』
#3918『そのアイドル、天然につき68 見失う着地点』
ランチビュッフェで瑠夏のピンチに気付き、よこにゃんが動き出した。
かおたん(松村香織)
あかりん(須田亜香里)
はるたむ(二村春香)
あんにゃ(石田安奈)
ごりさ(後藤理沙子)
ユウカ(田野優花)
カレン(岩田華怜)
よこにゃんは瑠夏の横に並び、関東レディースの前に立って切り出す。だがさすがにこういう場なので、よこにゃんビームは発射せず、口調は穏やかだ。
さすがによこにゃんだなと、愛理はそう思わずにいられない。これだけ正論を言われてしまい、関東レディースはどう出るのかなと思う。間違いなく仕掛け人なので、さらによこにゃんまでドッキリの餌食に加えるのか、それともここで着地点を迎えるのか。もし前者なら相手がガチなよこにゃんだけに、一層話が混迷しそうだ。そしてこの様子をどこかに設置されたカメラが捉えているのだろうから、まさにかおたんの思惑通りだ。
するとどうやら関東レディースは強気に出る方を選んだ。よこにゃんを巻き込もうと麟が対抗する。
『全く面倒な連中だなー。うちらの問題に口出しして、そんなにガタガタ言ってくるんなら、よこにゃんがるーちゃんの代わりに料理を運んでくれるかー。そうしたらうまく話がまとまるよなー』
よこにゃんが決断する。
『分かりました。私がみなさんの料理を取りに行きます。その代わり、この1回限りにしてください。それを約束してくれますか』
よこにゃんの言葉に、愛理は感心する。この状況では最高の返答ではないか。これ以上関東レディースがゴネれば悪いイメージしか残らないし、この辺りが着地点になりそうだと思うが、気になることもある。これだけ出席者全員が見守る事態に発展しているのに、ずっと大人しくしている者が2人いることだ。それはリョウと成美だ。口出ししにくい緊迫した空気になっているが、アンダー16連合の総長だったリョウと、てっぺんと言われた成美なら、臆することなく前に出るだろう。リョウにとってよこにゃんは、白雪姫のドラマで共演を続けている仲の良い先輩と後輩みたいな関係だし、成美と瑠夏は日頃から瑠夏が成美を慕っていて、固い絆で結ばれている。だが簡単に答えが出た。まずリョウは深く頭を働かせるタイプではないので、ドッキリを行うとかおたんに教えてもらったのだろう。成美の方はどちらか分からないが、何せかおたんとひとつ屋根の下で長い間暮らしているだけに、かおたんの思考を理解しているはずだ。だからかおたんが仕掛けたドッキリだと予想し、静観しているに違いない。すると麟がようやく態度を表明した。
『ああ。約束するよ。つうか、もういい!みんなが見てるし、これじゃあ全部うちらが悪いみたいになってるじゃん!もう誰にも頼まないから、よこにゃんも席に戻ってくれ!』
ガチなよこにゃんに押し切られた形になったなと愛理が思ったら、今度はよこにゃんが意外な言動に出る。
『"うちらが悪いみたいになってる"とは、どういうことですか。そもそも悪いのは全部あなたたちじゃないですか!それが分かっていますか!?』
これは関東レディースにとって、相手が悪かったなと愛理は思う。恐らくかおたんに頼まれてドッキリの仕掛け人を引き受けたのはいいが、ある意味災難だ。もうこれ以上ドッキリを続ける気はないのか、麟だけでなくおだえりと七瀬も言葉を失っている。
◇続く