新説『マジすか学園4』
#3849『アイドルに転職は難しい199 カプセルに支配される街』
「SF翼のない白雪姫(18/33話)」
<ブラックシープス>
白雪姫・みーおん(AKB48 向井地美音)
アツリーヌ(前田敦子)
さーなん(髙寺沙菜)
小林由依
今泉佑唯
守屋 茜
志田愛佳
平手友梨奈
長濱ねる
リョウ (北川綾巴)
カチドキ(堀 未央奈)
長沢菜々香
渡辺梨加
音 葉(町 音葉)
ユ キ(矢作有紀奈)
モ エ(矢作萌夏)
<うどん はた屋>
よこにゃん(SKE48 北川愛乃)
はたごん(SKE48 髙畑結希)
ちかこ(SKE48 松本慈子)
優莉奈(AKB48 行天優莉奈)
<カプセル販売員>
舞 香(=LOVE 佐々木舞香)
<謎の女の子>
せなたん(∴ヒロイン転生 星乃宮せな)
「満腹感カプセル」を手に入れ、寮の食堂に集まったみんな。
最初にカプセルを飲んだせなたんに顕著な効果が現れたので、他の者たちが続々とカプセルを飲み始めた。
しばらくするとテーブルの周りは、どんな食べ物の味がするかを発表し合う場になった。ねるが耳を傾けると、人気のある肉料理が1番多いようだが、あとは魚やシチュー、カレーライス、梨加が好きな唐揚げの他、ここで暮らすみんなが食べたことのないような未知の料理もあることが分かった。そんな様子を見ていたら、後ろから肩を突付かれた。誰だろうと思って振り返ると、さーなんだ。
『なんか凄いことになってるけど、まだ食べないの?あっ、飲まないのって言った方がいいか』
ねるが確認すると、カプセルを飲んでいないのは自分とさーなんの他は、アツリーヌくらいだ。
『私も飲むよ。でも確かめたいことがあるから、そのあとに飲む』
さーなんが聞いてくる。
『確かめたいことって何?』
『カプセルがこのままの調子で満腹感を味わえる安全なものかってこと。これまでの例からして問題ないと思うけど、私って用心深いから』
『なるほどー。確かにそうだよね。じゃあ、私もねるに付き合う』
これでアツリーヌを含む3人はカプセルを飲まずに様子を見ていたが、しばらくするとせなたんがこれまでとは違う言動に出た。
『あー。どうやら食事を味わう時間が終了したみたい。最高だったなー。ごちそうさまでした♪』
そう言い終わると、ソファーから立ち上がって背伸びをした。そこでねるが聞いてみる。
『あれからどんな感じだったの?』
『そうだなぁ。ご飯も少しあったし、最後はデザートの味がしたよ。あんなにたくさんの物を味わったんだけど、今は程良い満腹感ってところかな。胃がもたれる感じは全くしないし、やっぱ、このカプセルって凄ーい!』
せなたんの感想を聞き、ねるはさーなんとアツリーヌに次々と目を合わせ、無言でカプセルの効果と安全性を確認し合った。そのあとテーブルの方に行き、躊躇することなくカプセルを取り出すと、コップの水で口の中に流し込んだ。これからどんな味覚を味わえるのか楽しみでしょうがない。隣でさーなんとアツリーヌも同じ行動に出た。
その後2週間程、ブラックシープスのみんなは満腹感カプセルを飲み続け、自分たちで食事を用意するということをしなくなった。相変わらず路上ライブで集まる金貨の量は低迷を続けているが、食費が浮いたことは不幸中の幸いだ。
街の方では、食事を提供する店に人がほとんど寄り付かなくなった。明晰夢誘発カプセルで街全体の活気はなくなったままだし、客商売はどこも苦境に陥った。そんな中、ブラックシープスのみんなは、たまに「はた屋」へうどんを食べに行くことを続けている。3種類のカプセルは定期的に売り出され、街の人々の依存度が薄れることは全くない。それどころか不可欠なものになった。
街全体が異様なバランスを保ったまま、さらに1カ月程が過ぎた頃、第4のカプセルが発売されるとの噂が広まった。
そんなある日の昼下がり、みんなが同じ部屋に集まって情報交換を始めた。以前は食事の場で顔を合わせていたが、こうして全員が揃うことは久し振りだ。
◇続く