#3554『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』


#3554『君と出逢ってから今日まで54 アイドルたちの曲選び』



水曜日の午後2時を過ぎた頃、すちーずとちゅ〜‘Sデイズの両グループが、シャチホコセブンのレッスン場に集結している。


<すちーず>
萌 夏(矢作萌夏)
ユ ナ(小畑優奈)
桜 花(SKE48 末永桜花)
亜柚香(SKE48 上村亜柚香)
愛 理(SKE48 水野愛理)
初 夏(AKB48 歌田初夏)
音 葉(町  音葉)

<ちゅ〜‘Sデイズ>
瑠 夏(SKE48 井上瑠夏)
ゆうゆ(SKE48 大谷悠妃)
成 美(AKB48 倉野尾成美)


お互い、次のスタジオライブで歌う曲が気になるので、既に練習を始めているすちーずが、この場で1番だけ歌うことになった。

すちーずの7人が立ち上がり、センターに立つ者の左右に3人ずつ並んだ。そこで初夏がプレーヤーを操作すると、せつないテンポのイントロが流れ始めた。

すちーずが歌う歌詞に耳を傾けるゆうゆ。今はレッスン場にいるというのに、まるで部活帰りの夕焼けに染まる自転車置き場が目の前に浮かび上がり、せつない片想いの心情が込み上げてくる。この曲は”えごなる”の大ヒットナンバーだ。それをカバーするのはちょっとズルいなと思うが、指摘はしないでおく。自分たちはこのあと選曲を始めるが、ここですちーずと遭遇していなければ、この曲を選んでしまう可能性があったので、まずはひと安心だ。気になって瑠夏と成美の横顔を見てみたら、随分と真剣な表情をして聴き惚れているようだ。もっと聴いていたいのに、物足りなさを残しつつ、1番だけで終わってしまった。そのあとしっかり拍手しておいた。


演奏を止めた初夏が聞いてくる。
『ゆうゆたちは、歌う曲をまだ決めてないんだろー』

名前を出されたので、ゆうゆが答える。
『はい。今から3人で決めて、今日と明日で仕上げます』
『そっか。じゃあ、曲選びにあたしたちも協力しようかー』

ゆうゆが考える。3人でいろいろなミュージックビデオやライブ映像を見て決めるつもりだったが、非公開にしている曲を歌ってくれたばかりなのに、初夏の申し出を断るなんてことは到底出来ない。瑠夏と成美に目で確認を取ってから答える。
『そうですねー。では協力してください』
『よっしゃあー』
このあとレッスン場に置いてあるiPadを使っての選曲が始まった。


総勢10人で、いろいろな動画を見ているうちに、ある1曲に多くの支持が集まった。ゆうゆもこの曲がとても気に入った。どこか知らない雪国の都会で撮られたミュージックビデオで、制服姿の女子高生たちが、雪の積もった川べりを走り回って躍動する姿に胸を打たれた。中でもつぶらな瞳の少女から目が離せなくなった。サビのメロディーにどこか懐かしさが感じられるし、この曲を歌いたいなと思った。

瑠夏と成美も全く同じ思いを抱いたようで、ゆうゆは絶対にこの曲を自分たちでカバーしようと決めた。これからすぐに練習を開始するため立ち上がろうとする。そんな中で、音葉から意外な提案が出た。
『この曲を歌うのなら、センターに立ってる子と同じ髪型にして歌ってみたらどう?』
突拍子もない内容にゆうゆが反応に困っていると、成美が先に喋り出した。
『それってふざけて言ってる?それともウケ狙いに走れってこと?』
音葉が手を大きく左右に振る。
『そんなことないって!真剣に言ってるよ!とてもいい曲だし、センターに立ってる子は今どこで何をしているか分かんないけど、もしかしたらテレビで観るかもしれないじゃない。こんな素敵な曲を歌わせてもらうオマージュのしるしだよ』
『ふぅーん。オマージュねえ』
乗る気でない成美を見て、ユナが音葉に乗る。
『うんうん。オマージュだ。音葉のアイディアは絶対いいと思う!それでやってみたら!?』
『そうかぁ〜。ユナが言うならやってみようか』
これには音葉が成美に抗議する。


◇続く