#3060『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

ブログの説明を入力します。

 

新説『マジすか学園4』


#3060『君のことをもっと知りたい10 張り合うヤンキーたち』





火曜日の午後9時過ぎ。大須商店街にある「はつもり」には、店の片付けを済ませた関東レディースの麟、おだえり、七瀬、麻璃亜が、ななまると向かい合っている。あとは以前この店で働いていた祐希と桃子も居合わせている。


「シャチホコセブンの世界征服女子」に乱入という体で出演するため、そろそろ準備に取り掛かろうとする麟たちに、祐希が絡む。
『乱入するって、その前におまえらテレビ局に入れてもらえるのか?いきなり行ったって、受付で追い返されるに決まってるぞ。今までテレビに出たことがないから、顔も知られてないしな』
年下なのに上からの祐希を、おだえりが一瞥する。
『それは大丈夫だ。かおたんに話を通してあるから、テレビ局に入れてもらえるようになってる』
『それは乱入とは違うだろっ』
おだえりの語気が荒くなる。
『番組には乱入するんだから、乱入でいいんだ!』

祐希に代わって桃子が、ソフトに話し掛ける。
『乱入してどうするの。まさかケンカを始めちゃうつもり?失敗してグダグダになったら笑いモノだよ』

桃子に答えるのは麻璃亜だ。
『それは向こうの出方次第ってとこだよ。うちらが現れるって知らないから、どう出るかでしょ。肝心なのは撮れ高だから、いざとなったら大暴れするつもりだけど』
強気な麻璃亜に対し、七瀬が難色を示す。
『ちょっと待ってよー。うちらもういい年なんだし、ヤンキーだとか、ケンカが強いっていうのを売りにするのはやめない?もっとスタイリッシュでエレガントなミルフィーユみたいなチームを目指そうよ。反乱軍やレッツゴー!シックスティーンズとは、ひと味もふた味も違うね』

桃子が七瀬の方を見る。
『なんでミルフィーユが出てくるのかと思ったら、ひと味とふた味をかけたんだね。さすが七瀬ちゃん!前から思ってたけど、ヤンキーには見えないくらい綺麗でスタイルもいいんだから、つるんだりせずにソロで活動していった方が売れるんじゃないの?それか坂道に入っておけば良かったのになー』
七瀬のことを褒める桃子に、ななまるが乗っかる。
『ホント、そうだよねー。七瀬って名前の子は、綺麗な子ばっかりなんだよ』

ななまるの冗談とも本気とも分からない発言を聞き、祐希が『あはっ』と鼻で笑うと、ななまるに睨まれてしまったので、たまらず肩をすくめた。そこでななまるが試しに言い出す。
『なんだったら今夜の乱入に、祐希と桃子を貸そうか?人数では圧倒的に不利でしょ。それにこの2人はアンダー16連合とずっとケンカしてきたんだから、持ってこいじゃない。ケンカも結構強いし、最近は「KEYABINGO!」や、オイラーズと出てる全国ネットの人気番組でかなりの話題になってテレビ慣れもしてるから、最高の助っ人になると思うけどな。それに何と言っても地元の番組だし』

ななまるの思わぬ発言に、祐希と桃子が唖然として顔を見合わせる中、おだえりが固辞する。
『そうですね。この2人が凄い人気になったということは、悔しいけど認めます。「KEYABINGO!」での演技も、ベマーズとしての歌もまぁまぁやってると思います。でも今夜はあたしたち4人で行かせてもらいます!』
ななまるが心配になる。
『大丈夫?テレビは初めてなんでしょ。眩しいスポットライトにいっぱい照らされて、カメラが何台も自分たちの方を向いて、その上、向こう側には知らない人たちがいっぱい見てるんだよ。反乱軍とレッツゴー!シックスティーンズは先週からテレビに出てるし、束になって掛かってくるでしょ。まっ、びびらないようにやってよね』
『はい!やります!』
おだえりが意気込んだ直後、『うちらがまぁまぁやってるとはなんだ!』と、祐希が文句をつけた。おだえりが反発せずにやり過ごしたので、麟がそろそろ切り上げようとする。
『あのー、今からここで着替えさせてもらいます』
ななまるが『どうぞー』と返したので、4人が番組に乱入するために選んだ派手な服を手に取り、着替えを始めた。

ななまるがふと気付くと、桃子が七瀬の着替えをジーッと見て釘付けになっているので、『こらーっ』と注意した。

しばらくして着替えを終えると、『行ってきまーす』と言い、4人が「はつもり」を出た。その格好で中京テレビまで移動するのかと思うななまるだが、指摘はしないでおく。


◇続く