#2400(23/27話)『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』

#2400(23/27話)『坂道下剋上50 呪われたライブ』


「SF翼のない白雪姫(7/11話)」

<ブラックシープス>
守屋 茜
志田愛佳
今泉佑唯
小林由依
平手友梨奈
長濱ねる
リョウ (北川綾巴)
カチドキ(堀 未央奈)
長沢菜々香
渡辺梨加
白雪姫・みーおん(向井地美音)
アツリーヌ(前田敦子)
さーなん(高寺沙菜)
音 葉(町 音葉)
ユ キ(矢作有紀奈)
モ エ(矢作萌夏)

<ヒナターズ>
シ        ホ(加藤史帆)
きょんこ(齊藤京子)
みーぱん(佐々木美玲)
美        穂(渡邉美穂)


新たに見つけた公園でのライブで、ブラックシープスは前日とは違う顔触れの2組に分かれ、曲も全て入れ換えた。ヒナターズの方は前日よりも1曲多い3曲を歌い、都会の洗練されたパフォーマンスで田舎街のファンを魅了した。ライブ終了後に集まった金貨は、鍋から溢れそうな程だ。そして明日もここでライブを行うとファンに告げた。

帰路、今日も店で何かおいしい物を食べて帰ろうかという話になったが、注意したのは食事当番の由依だ。
『毎日外食するなんて贅沢はダメだよ。今日は寮で食べるんだから!』
モエから質問が飛ぶ。
『今日は何を食べるの?』
自信ありげに答える由依。
『梅干し茶漬けー』
『えー、お茶漬け?』
『私が作る梅干し茶漬けは、すっぱくておいしいんだから!』
『そっか。じゃあ、由依ちゃんが作る梅干し茶漬けにしよう!』
『よしっ。任せといて』
ここで愛佳から突っ込みが入った。
『お湯をかけるだけじゃないのー』
『即席みたいに言わないでよ~』
由依の抗議に、みんなが笑い出した。


翌日になった。朝食の時間になり、みんなが集まる部屋に次々と人がやって来る中、ユキとモエが来ていない。昨日のライブでモエがとても張り切っていたので、今朝は寝坊しているのだろうと誰も心配していなかった。

しばらくするとユキが1人で現れた。その顔を見て、モエに良くないことが起きているのだろうと、みんなは容易に想像した。
『モエの様子が朝からおかしいの。熱があってうなされてるから、私とモエは今日のライブは休ませてもらおうかと…。モエの側にいたいから』
予想していた通りのことがユキから報告され、白雪姫が真っ先に反応する。
『ライブは休んで全然構わないよ。それよりモエはどんな感じなの?』
『私の言っていることが聞こえているか分からないし、モエが何か言おうとしているみたいだけど、言葉になってなくて聞き取れないの』

ユキの説明を聞いて、白雪姫が一番疑問に思うことがある。モエは200年前に戦争の犠牲になって自ら命を絶ちながらも、今の時代に甦った子だ。さーなんと同じで生き霊みたいな存在なのに、病気になったりするのだろうかと…。それを口に出して確かめたいが、ヒナターズの4人がいるので言い出せない。どうしようかと思っていたら、リョウが『モエの様子を見に行ってくる!』と言った途端、みんなが集まる部屋から飛び出して行った。そのすぐあとにカチドキが続いた。モエが今の時代に甦るきっかけを作ったのはあの2人だったなと、白雪姫が思い出した。さらに音葉・ねる・平手・茜らが続々とあとを追ったので、白雪姫も遅れて部屋を出た。


モエはベッドの上で横になっていて、ユキが言っていたように苦し気に口を開いたりしているが、何を言おうとしているのか全く分からない。そこでたまらずユキが言い出した。
『モエのことは私が見ているから、みんなは気にせず路上ライブに行って』

そんな様子を見て、ヒナターズの美穂が心配でたまらなくなった。
『モエちゃん、凄く苦しんでるじゃないですか!ユキちゃんが見てるだけで大丈夫なんですか?病院に行った方がいいと思います!』
ブラックシープスのみんなが顔を見合わせたあと、諭すように答えるのは茜だ。
『この辺りに病院はないの。それとモエのことはユキちゃんに任せておけば大丈夫だから』
美穂はまだ心配そうだ。
『本当に!?』
『うん』
茜が返事をしたあと、ユキが『美穂ちゃん。心配してくれてありがとう。でも私がモエの側にいるから、ライブは美穂ちゃんたちに任せるわ』と言うので、美穂はここで引き下がった。


午後になった。ユキとモエを寮に残し、あとの者は「平和の森公園」に向かった。やがてライブをスタートする時間になった。白雪姫が冒頭でモエが体調を崩し、ユキが看病するため2人の欠席を集まったファンに知らせた。『えーっ💦』とお約束の反応があったあとは、さらりと受け流しておく。

まずブラックシープスのうち8人が最初のステージに立った。白雪姫もその中にいる。1曲目は代表曲の「翼はいらない」だ。白雪姫はギターを担当し、ボーカルにも加わっている。

白雪姫が最初にその異変に気付いたのは、空模様からだった。青い空にところどころ白い雲がぽっかりと浮かぶ良い天気だったのに、いつの間にか日差しがなくなっている。慌てて空を見上げたら、気が重くなりそうな程の灰色に染まっているじゃないか。今度は視線をファンの方に向けると、ギターを弾き損なうくらいに驚いた。そこにいるのは、さっきまでいたブラックシープスのファンではない。悲愴な表情を浮かべている、この地区の住民たちだ。その服装は現代の物ではなく、白雪姫自身が前の時代を生きていた200年程前、貧しい暮らしを強いられていた地域の人たちが着ていた物だ。白雪姫は幻想でも見ているのだろうかと、長めに目を閉じてからそっと開いてみたが、何も変わりはない。それどころか、もっと信じられない光景が目に飛び込んで来た。壇上に立っている自分たちの方に、下手から近付いてくる一団が見える。先頭は軍服を着た勇ましい兵隊で、その部下が大勢いる。腰のベルトに銃剣を携えているようだ。そのあとを腰に縄を巻かれ、両手を縛られた人たちがフラフラとした足取りでついて来ている。先頭の兵隊が立ち止まると、後続の人たちは力なくその場でしゃがみ込んでしまった。


◇続く