#2379『マジすか学園4』 | 第7シーズン

第7シーズン

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新説『マジすか学園4』

#2379『坂道下剋上29 仮想空間の最期』


宇宙人によって仲間の4人が犠牲になり、怒ったユナが果敢にも宇宙人に向かって行った。萌夏たちには容赦なくレーザー光線を浴びせた宇宙人が、真っ正面から距離を詰めて来るユナに対して後ずさりしている。ユナはすぐに宇宙人の胸ぐらをつかみ、激しく詰め寄った。
『なんでこんなことになってるの!早く元に戻してよ!!』

ユナの勢いに押された宇宙人の様子が、突然おかしくなった。腰から砕けるように崩れ落ちると、下半身がグラグラになったまま地面に倒れ込み、やがて蒸発するかのように身体が消滅した。ユナはヤレヤレといった顔でその場を離れると、のじのじが近付いて来て声を掛けた。
『宇宙人はいったい何だったの?ユナが怒ったら、急に消えちゃったりして』
ユナはこの状況がよく分からなかったが、代わりに答えたのは亜柚香だ。
『もうVRが終わる時間なんじゃないのー。かなり長くいるよ。料金分は十分に楽しめたでしょ』
『あー、なるほどね』
のじのじがそう返事をしたあと、亜柚香は視界が白い光に遮られて見えなくなった。たまらず後ろに一歩引くと、かかとが何かにつまずいたようになり、気付いた時にはあのクッションの良いシートに座っていた。


周りの景色が、VRが始まった「オアシス21」の会場に戻っている。亜柚香はため息をつきながらベルトのロックを外しに掛かったが、目に飛び込んだのはレーザー光線の犠牲になった萌夏たち4人だ。既にシートから離れていて、桜花と初夏が担当のあの女性に何か言っているようで、萌夏と愛理がその様子を見守っている。ロックを外した亜柚香は、すぐに駆け寄ってみた。

桜花が女性に訴えている。
『お金まで払ったのに、なんであんな目に遭わされなくちゃいけないんですか!』
初夏も強い口調で続く。
『ホームページで宣伝されている内容と全然違うんだけど!楽しい宇宙旅行だって書いてあるじゃん!』
担当の女性はモニター室でのやり取りを知らないので、桜花たちがどんな目に遭ったのかよく理解していない。耳に入れたインカムでモニター室に問い合わせているが、無視されているのか返事がない。こんなクレームが来ることは初めてなので、戸惑いながら謝ることしか出来ないでいると、後方からやって来たユナがはっきりと言い切った。
『もういいじゃん。このお姉さんのせいじゃないよ。危険な目に遭ったけど、それもスペースアドベンチャーの一環でしょ。いい経験になったよ。もう帰ろー』

大人っぽくなったユナの発言が効果的で、桜花と初夏は女性を問い詰めることをそこで止めた。のじのじが最後にシートから離れて側までやって来たことを確認すると、7人は会場から足早に立ち去った。そのあと、数年前に再開発された久屋大通公園のレストラン街でランチを済ませ、タクシーでシャチホコハウスに向かった。途中下車した亜柚香・桜花・初夏・のじのじの4人は自宅に帰り、萌夏とユナはハウスで荷物を手にすると、リニア新幹線に乗るため名古屋駅へ急いだ。


シャチホコハウスのソファーに寝そべっている愛理は、かおたんに今日の行動内容を聞かれた。アンダー16連合のたまり場で、関東レディースや初森第二の祐希たちと初夏が揉めた事や、怪しげなVRのイベントで酷い目に遭ったことを伝えた。愛理は約束した通り自分の目を通して映像を残しておいたので、それをかおたんに見せた。ところがたまり場での揉め事はわざわざテレビで放送する程の内容ではなく、VRの方は愛理の内蔵カメラでも対応が不十分だったようで、映像がノイズだらけで使い物にならず、かおたんをガッカリさせる結果に終わった。


◇続く