小泉政権の時代に盛んにいわれたのが「規制緩和」という言葉。
「自民党をぶっつぶす」というスローガンもありました。
しかし耳ざわりがよいだけで、どれだけ実効があったか。
今にして思うと大いなる疑問といえるでしょう。
この規制緩和の裏側にあるのが
「自己責任」という妖怪です。
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特にネットがらみで考えると、どういうことになるのか。
ネット社会では、今ではほとんど「何でもあり」の様相を呈しています。
つまりぐるぐる回っている情報の世界では、
「輪廻」というのが当たり前で、
すでに規制緩和以前のしろものだから、当然、その社会のルールは
「何でもあり」の無法状態にぴったり似合っているわけです。
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ちょっと私たちの普通の生活を考えてみましょう。
この日常社会では、どれだけ規制緩和が進んでも
厳然としてリアルな世界のルールが貫徹しています。
主婦が買い物に行き、日本産と表示されたお肉を買います。
それが中国産だったら、供給した業者は罰せられます。
また欠陥商品を売ったメーカーはリコールして補償しなければなりません。
しかし通信販売でも「クーリングオフ」があるじゃないか、
という声が聞こえてきそうです。
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しかし「情報」という商品は肉や野菜、衣服などの一般商品と違います。
この「情報」というものはいったん人がそれを知った時点で
いわゆる売買契約は成立してしまっています。
たとえば私が本を買ったとしましょう。
そして読み終えた後で、この本をクーリングオフして代金を返してもらえるでしょうか?
つまり情報という商品に「クーリングオフ」がどんな意味を持つか、
理解できると思います。
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「情報商材」「情報教材」というものは殆どがノウハウものです。
お金儲けのノウハウ、勉強ができるようになるノウハウ、
むかし風に言えば「虎の巻」「五輪書」といった感じでしょうか。
ここにネット社会で情報商材が跋扈する温床があるのです。
前項で「人間には射幸心がある」と書きました。
たしかに運不運は人生につきもので、
大金持の子供に生まれるか貧乏人に生まれるか、それは選べないもの…、
しかし「賢く生きる」とか「努力して大成する」とかは
人の生き方を変える考え方です。