ひと昔まえ、ある新聞社のネット研修会に講師として呼ばれた時、
冒頭に「wwwってなんのこと?」という話をしたことがあります。
これは今では誰でも知っているように、
「World Wide Web」の頭文字をあらわしています。
’web’というのは「蜘蛛の巣」…
つまり世界に広がった蜘蛛の巣のようなもの
それが’インターネット’の意味だと説明し、なお
分かりやすいように「パソコン通信」との違いから
話を始めました。
つまりパソコン通信では「ニフティ」などの
複数の巨大なサーバがあり、会員はそこにアクセスして、
色んな情報を得たり、ほかの会員とのコミュニケーションを楽しんだりしていたのですが、インターネットの時代には、それこそ蜘蛛の巣のように一人ひとりのパソコンが繋がって、巨大なそして混沌とした情報ワールドが現われたわけです。
…
なぜ、こんな話を持ち出したかというと、
このネット社会の匿名性が
ほかならぬ「ネット詐欺の温床」のひとつとなっているから
なのです。
もちろんパソコン通信の時代にも、匿名性は或る程度守られていました。
会員は本名でなくハンドルネームで通信していましたが
入会するには会費も必要なため、ある程度の個人情報は
主宰会社に登録しなければならず、
公序良俗に反する書き込みや犯罪的な行為は御法度という
「安全なルール」が守られていたようです。
ところが「WWW」の社会では、このタガが完全にはずれてしまったのです。
たしかに警察力を持ってすれば、IPアドレスから発信元を割り出すことは
出来ますが、法にふれない中傷や告発のない詐欺行為などは
野放しと言ってもいいのが現状ではないでしょうか。
ブレーキのきかない情報社会の一番良い見本(悪い見本と言ってもいい)が
「2ちゃん」やハッカー犯罪でしょう。
また閲覧しただけで(つまり或るページを偶然開いて誤ってクリックしたとたんに…)
法外な請求が来るというような「振り込め詐欺」も後を絶ちません。
ネット犯罪には法制の整備が追い付いていないのが現状です。
いまweb上に氾濫している「情報商材」なるものも、ある意味
上に書いたような「匿名性」を利用しているものが多いことを
まず認識しておかなければならないと思います。
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次項は「自己責任」について