たかしが家へ来ると私は大抵ほうじ茶を入れる。
初めてうちに来た時に緑茶が切れていたので、代わりにほうじ茶を入れたのを気に入ったらしい様子で、なんだかそれが決まりごとのようになってしまった。彼はコーヒーより紅茶党のようだ。
いつかホテルに泊まった折、何を飲む?と聞いたら緑茶だった。
「日本人ならやっぱりお茶でしょう」
私はたかしのために緑茶のティーバック、自分のためにコーヒーのパックを開けた。
「doorはいつもコーヒーだね」
コーヒーばかりでなく、気分で緑茶も飲むし、紅茶も、ハーブティーも飲む。
だけどやっぱり気がつくと、コーヒーを飲んでいることが多い。
「何でだろうね」
コーヒーは刺激物だ。そうしてある程度刺激を与えないと、血圧の低い私は何か身体を保っていられない気がする。
ここのところ何もやる気がしないのは変化の多い数年を過ごしたからだろう。