隙間 | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

仕事が終わらないと言うべきか進まないと言うべきか、私はこのところ土曜日も仕事をしている。たかしも忙しかったから今週のデートは気が進まなかった。

「土曜日は午前中用事があるんだ」

たかしもすこし休んだほうがいいし、忙しかった分娘たちと過ごしてあげて欲しい。慌しく交わるだけなんて悲しすぎるもの。

安心して仕事をしようと決めたけれど、金曜の夜気分転換をしたくて一人でレイトショーの映画に出かけた。


寝ようと思った土曜の深夜、いつも早寝のたかしから珍しくメールが来た。

急いでメッセに移る。

「今日はどうしてたの?」

「マンションの管理組合があって、午後は車の点検、夕方からdoorの観た映画観てきた」

「みんなで観たの?」

「一人」

「えええええええええええ」

「Mは文化祭、Aは塾」

「明日みんなで観にいけば良いのに」

「明日はAはともだちとカラオケだって」

「じゃぁ、明日デートしてくれる女の子はいないの?」

「うん、どうせMは遊びに行くだろうし」

「明日は空いてる?」

「うん、Aが出かければ空いてる」
「何時にカラオケに行くんだろう」
「お昼食べてからだと思う」

「えへー」

「じゃゆっくり出来るように私がそっちに行こうか」

「いいよ、雨らしいから車で行くよ。doorは明日ゆっくりお寝坊してな」

「そうと決まればおやすみっ」


朝、9時過ぎにメールが来た。

「これからそっちに出かける」

え~、まだ9時なのに。寝坊できるはずだったのに。部屋の掃除もしていないのに。

中学生のカラオケはそんなに早いのだろうか。

「どうも朝から行くとフリータイムで飲み物も無料らしい」

中学生、しっかりしている。

そして中学生の親もちゃっかりと隙間に楽しんでいる。