月に吠える | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

一昨日は満月。

おりものに血が混じって排卵日とわかる。道理でと、しばし納得。
夕方雨の坂道を歩きながら服が張り付き、まとわり着く感じが私を刺激していた。身体の中心から頭の先まで快感の記憶が一筋に突き抜けて、記憶でなく今すぐに実感したいと思う。


今日は無理だと分かっている。
そもそも自分の都合がつかない。


それでも身体の空洞を埋めたいと思うプリミティブな情動を少し引きずって堪らずに電話する。
「今日は満月だし、排卵日だしむらむらしてる」
「じゃぁ、早く寝なさい」
「へ?」
「月に吠えながら寝ましょう」
軽くいなされて、そりゃそうだと思わず納得した。
「じゃ、これからすぐ行くから」と言われたらそれはそれで困る。


「わぉ~ん」と小さく吠えて眠りに付いた。