- カレセン―枯れたおじさん専科
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「大変だ!時代はたかしに向いてきた!最近若い人の間で枯れたおじさんが流行っているらしいぞ!」
「そんなに枯れているのか?」
「たかしは枯れてないけど、パッと見なんか淡々としてて枯れっぽい感じー」
少し前に流行った「チョイ悪」みたいなイヤラシさの無い自然体。
たかしは自分を飾ろうとか、良く見せたいとかあんまり思っていない人だ。「飾ったところでどうせバレちゃうもん」
苦労しているだろうに、そんな素直さがかえって印象的だった。
「枯れ果ててる。doorから若さを吸い取らなくちゃ」
「もし私に若さがあるなら、貴重だから吸い取らないでっ」
「doorの若さはHに現れてるし」
「Hが若いって良く分からない」
「それだけじゃなく探求心旺盛なのだし」
好奇心、探求心。
今までずっと私を構成してきたそれが、どんどん失われつつあることに実は最近悩んでいた。
「とにかくー、たかしの時代が来たってことでー、誘惑されないように」
「なんだそれー、doorに誘惑されてるしー」
「私は良いの、若い娘に誘惑されないように」
ほとんど大丈夫だと思うけれど、流行ならば万が一と言うことがある。
「そうだ、さっきのスライドショー良かったよ
繋がりも絵もきれいで音楽を付けたくなっちゃった」
たかしは春をたくさん撮影してきたのをスライドショーにして見せてくれた。私一人が見るのはもったいない。
「そうだねー、音楽が付かないんだー」
「あれを動画に出来ないかなー、それで音楽をつけたり」
「できなくはないけどー、 めんどくさいんだもん」
話がまた元に戻る。
「やっぱりたかし枯れてる」
「でしょ、めんどくさくなるのは おじさんだ」
だからそんなおじさんの時代が来たんだって。でもなんだか安心していても良さそうだ。