カレセン | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

カレセン―枯れたおじさん専科
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「大変だ!時代はたかしに向いてきた!最近若い人の間で枯れたおじさんが流行っているらしいぞ!」

「そんなに枯れているのか?」

「たかしは枯れてないけど、パッと見なんか淡々としてて枯れっぽい感じー」

少し前に流行った「チョイ悪」みたいなイヤラシさの無い自然体。

たかしは自分を飾ろうとか、良く見せたいとかあんまり思っていない人だ。「飾ったところでどうせバレちゃうもん」

苦労しているだろうに、そんな素直さがかえって印象的だった。


「枯れ果ててる。doorから若さを吸い取らなくちゃ」

「もし私に若さがあるなら、貴重だから吸い取らないでっ」

「doorの若さはHに現れてるし」

「Hが若いって良く分からない」

「それだけじゃなく探求心旺盛なのだし」

好奇心、探求心。

今までずっと私を構成してきたそれが、どんどん失われつつあることに実は最近悩んでいた。


「とにかくー、たかしの時代が来たってことでー、誘惑されないように」
「なんだそれー、doorに誘惑されてるしー」
「私は良いの、若い娘に誘惑されないように」

ほとんど大丈夫だと思うけれど、流行ならば万が一と言うことがある。


「そうだ、さっきのスライドショー良かったよ

 繋がりも絵もきれいで音楽を付けたくなっちゃった」

たかしは春をたくさん撮影してきたのをスライドショーにして見せてくれた。私一人が見るのはもったいない。

「そうだねー、音楽が付かないんだー」

「あれを動画に出来ないかなー、それで音楽をつけたり」
「できなくはないけどー、 めんどくさいんだもん」

話がまた元に戻る。


「やっぱりたかし枯れてる」

「でしょ、めんどくさくなるのは おじさんだ」

だからそんなおじさんの時代が来たんだって。でもなんだか安心していても良さそうだ。