ある晴れた午後の密談 | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

「で、その後彼とはどう」
「えぇ、すっごく楽しくやっています」
私の恋愛話を楽しみに聞いてくれる40才年上の男性。
「向こうもこちらも子供がいますし、結婚なんてする必要がないし」
「それは…」
「延々と恋愛し続けることが出来るってことですね」
私は時代劇にでてくる越後屋のように笑って見せた。
「面白いねぇ」
総てを飲み込んで彼もまた悪徳家老のように笑ってみせる。
「えぇ、とても」
越後屋は再び笑う。
「面白い、実に面白い」
「えぇ、何もかも自由ってことがこんなに緊張感のあることだって」
「ふむ、いや、いいねぇ」
「えぇ、良いでしょ。一度引き金を引いたことがある人間は、二度目は躊躇いがないって分かっているでしょうし」
ご家老は満面の笑みで悪戯っぽく笑う。とても満足そうに。
「ふむ、全く羨ましいねぇ」
「ま、上手い組み合わせって事ですわ。これからどうなるかはわかりませんが」