もしも… | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして


ぴと


もしも…こんな仮定に何の意味もないことはお互い分かっている。

「ちゃんとわかってるんだけど、今だから逢えたってわかってるけど…」
「うん」
「もっと早くたかしに逢えてたらなって思うときがある」
「うん そう思うときがあるね」
「たかしもそう?」
「うん もっと早くって、そしたらどんなだったろうなーって」


それは子供たちの存在を否定する考えなのかも知れず、具体的に想像したことはなかった。二人で虚しい夢に落ちてしまいそうで私は慌ててまぜっかえした。
「結局は離婚してたかもしれないけど」


二人で笑って誤魔化した後でまたたかしが言った。
「どうなんだろう」


どうなっていたのだろう。やはり想像も付かない。過去の上に成り立っているそれぞれとして出会ったのだから。
それでも繰言が続いてしまう。
「今だからって言うのはあると思うけど、もしもって考えちゃうことがあるよ」
「そうだね、 もしも…」