クリスマスプレゼント | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

「最近悩んでることがあるんだ」
11月の中旬頃たかしが打ち明けた。
「クリスマスプレゼント何が良いかなって」
「それは楽しい悩みだね」
「うん、でもホントに困ってる」
「特別欲しいものってないんだ、でも考えておく
   たかしは?」
「そうなんだよな~」
「じゃぁ宿題ね」
翌々日家を出るときにふと鍵を見ると、大昔に友達から貰ったキーリングが目に付いた。
20年以上も使っている。私のイニシャルはいつの間にか欠けてしまっていた。
「決めた。キーリングって言うか、キーケースっていうかそういうもの」
「うん、分かった」
「たかしは?」
「まだ~~~」
翌日。
「いろいろ考えたんだけど、僕も同じものを頼むよ。鍵はいつも身に付けているから」
「うん、分かった」
私はプレゼントにいろいろと注文をつけた。革だったら茶色は嫌だ。金具はシルバーで。
「そういう風に言って貰った方が助かる~」
「たかしはどうなのよ」
「doorに任せる。なるべくならあんまり大きくないほうが良い」
ホイッスル
それからキーリング探しが始まった。余り外に出かけないから結局ブルガリのキーリングをネットで買った後に、ふと出かけた立川の丸善で素敵なキーリングを見つけてしまった。
こっちのほうが良いかもしれない。いや、それよりたかしがいつも身に着けるキーリングに私の思いを込めたい。
それからもう一度ネット中を探して回った。


トロイカのホイッスル。


たかしがいつも身に付けていたら、何かがあったときでも彼と一緒にいる。地震が来て瓦礫に埋められても、何か危険があった時でも。
いつも側に居られない、何かがあったときにも助けに行けないけれど、せめて。
私の気持ちと願いを込めて。


注文とは少し違って大振りだけど喜んでくれるに違いない。