今セックスしましたって書いてある顔 | 秘密の扉

秘密の扉

ひと時の逢瀬の後、パパとお母さんはそれぞれの家庭に帰る 子ども達には秘密にして

夢のように愛し合ったあとでたかしに
「今日は何時まで良いの?」と聞いた。
「ん~6時」
「えぇっ!もう6時だよ、帰らなきゃ」
私は少し寂しかった。いつもはもっと遅くまで一緒にいるのに。
だけど、お嬢さんたちと一緒に過ごす時間も大切なのだ。この所彼は忙しかったから帰宅時間も遅かった。たかしだって疲れてもいるだろう。
でももう少しだけ一緒にいたい。
ぐずぐずしているたかしに急いで服を着せた。
「ねぇ、帰りたかしの家の近くまで一緒に行っちゃダメ?」
「ダメ」
「途中まででいいから」
「だめ」
「お願いよ、もうちょっとだけ一緒にいたいの」
私は強引に車に乗り込んだ。
「どうしたの、今日は珍しくわがままだね」
「たかしと一緒に居たいんだもの、それになんか電車に乗りたい気分」
「えぇっ?」
「たくさん乗り換えして、いろんな電車に乗りたいの」
「なんか変だなぁ」


車の中で話しているうちにお互いに勘違いに気が付いた。
「えぇっ、今何時って聞いたんじゃないの?」
「えーっ、いつもみたいにゆっくり出来たの?てっきりお嬢さんたちと夕ご飯を食べるんだと思ってた」
「そうか、それでか……ありがとね」
「え~、そうと決まったらお腹が空いたよ~、今日はてんぷらを食べるはずだったのにぃ」
「僕もお腹がてんぷらだったんだ」
「てんぷら♪てんぷら♪」
「多摩センターで何かやっていたはずだ」
オデッセイは左に曲がった。
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駅近くの駐車場に車を止めると、イルミネーションの光が覗いた。
三越に行けばてんぷらは食べられるだろうと、そのまま階段を上がろうとした私をたかしが留める。
「door、あっちからのほうが良さそうだ」
改めて駅のほうから回り込むと青い光のトンネルがあってみんなが記念撮影をしていた。そこを潜り抜けて中央のツリーを望む。
「すっごく綺麗」
「素敵な勘違いになったね」
「うん、間違えてよかったよ」


二人で写真を撮ったりしながら三越に行き、席を待つ間に冷えたのでトイレに入った。

あぁ、そうだ、慌てて素っぴんのまま出て来ちゃったんだと鏡を見ると、先ほどのセックスで上気したままの顔。
顔のあちこちにシーツで擦れた赤みがまだらになっていた。
たった今セックスしましたって顔に書いてある。慌てて化粧をして席に戻った。
「もう顔がまだらになっていたよ。知ってた?」
「うん」
「はずかしいったらありゃしない、言ってよ~」
たかしはニヤニヤしながら私の顔を見ていた。